◆錯覚から目を覚ませ!多くの日本人が誤解している「血圧の平均」
先日、齢70歳を超えた超ベテランの内科医とお酒を飲みながら親しく懇談しました。医師でも見かけから傲慢で医師でない人と紳士的につきあいができない人もいますが、そのお医者さんは上品で控えめ、いかにも信頼できる医師という風貌でした。
長い内科の臨床医師としての経験から「人間って、個性の幅がとんでもなく広いのです。良くこんな状態で健康?と思う人もおられますし、さまざまですね」とお話になりました。そこで、私が「先生は血圧はどのぐらいから注目されますか?」とお聞きしたら、「170ぐらいですね。それも人によりますが」と言われました。
2年ほど前ですが、日本ドック学会が検査を受けた150万人のうち「どこから見ても健康」という人の血圧を平均したところ150で、厚労省が決めている130より20も高いということで物議を醸しましたが、150というのもあくまでも平均値で、「どこから見ても健康」という人の一人一人の血圧は110ぐらいから180ぐらいまで分布していました。
その内科医の先生の経験では、血圧がいくつだからどうしなければならないということはない、その人が「病気であるかどうか」を見極めるのが医師だと至極当たり前のことを言っておられました。血圧が高ければ血管系の病気になる可能性があり、血圧が低ければガンや肺炎になる可能性が高くなるからで、体はそれを考え、年齢による血管の硬化も考慮に入れて血圧を決めているのですから、医師がそれに反して「血圧が高い」とか「低い」と診断するためには数値はほとんど意味が無いということです。
このシリーズに書いてきましたが、未だに「血圧は低い方が良い」とか「コレステロールは低い方が良い」と思っておられる人も多く、もともと自分の健康は医師ではなく個人が考えることですが、ただ役所やマスコミに洗脳されて間違って考え、それで命を落とすのは残念に思います。
多くの人が錯覚している原因の一つが、血圧やコレステロールということで内容を完全に理解するのが難しいことが上げられますので、ここでは、「血圧の平均」というのがいかに無意味かを「身長」を例にとって説明します。