■トランプ政権の再生策・ブレグジットの今後の展開・カジノ関連株等
絶賛発売中の「長谷川慶太郎の大局を読む緊急版」の『大転換』(発行:李白社、発売:徳間書店)では、アメリカ国内はもとより国際的にも非常に大きな影響を及ぼすトランプノミクスについて広く深く詳述しました。トランプ政権はこのトランプミクスによる大型減税、インフラ投資、金融規制改革、エネルギー規制改革などに取り組んでいます。全国の大手書店に並んでいますので、ぜひご一読下さい。
●トランプ政権が力を取り戻すためにはどうすればいいのか?
トランプ政権は、共和党内で反対する議員が出たためにオバマケア(医療保険制度改革法)代替法案を連邦議会下院の採決に持ち込むことができませんでした。これで与党の共和党もまとめきれないトランプ政権の政策実行能力にはっきりと疑問符が付くようになったのです。株式市場もトランプ大統領の発言に反応しなくなり、トランプ相場は終わってしまいました。
自由貿易体制であるTPP(環太平洋経済連携協定)撤退に象徴されるようにトランプ大統領の主張は、第2次世界大戦後70年以上にわたって集積された世界の経済政策を否定するものだといえます。トランプ大統領が否定を貫こうとすれば世界の経済政策と戦って勝利しなければなりませんが、アメリカの1つの政権だけでそんなことができるはずがありません。トランプ大統領の主張には限界があるわけで、もし今後もトランプ大統領がその限界を十分に心得ずに大統領令を出していくなら、大統領令が全部通らないという事態も起こりえます。となるともはや大統領でありません。
今やそういう事態まで想定されるほど、トランプ大統領の政治の限界がクローズアップされてきました。言い換えれば、アメリカの大統領はオールマイティではなく、歴史的に集積されてきた世界の経済政策をひっくり返せないことがはっきりしました。トランプ大統領は追い詰められています。
では、トランプ政権が力を取り戻すためにはどうすればいいのでしょうか。それにはまず、過去の歴史を踏まえて議会との関係を調整し立法に取り組んでいかなければなりません。下院議員と上院議員は全員、選挙区の事情を抱えています。この選挙区の事情というのはその地域の地方政治です。トランプ政権も選挙区の事情というものをある程度尊重して下院議員と上院議員を取り込んでいくことが求められます。同時に司法との関係の調整も必要です。
政策面ではやはりTPPへの対応を変えなければなりません。自由貿易体制は第2次世界大戦後の国際経済の基本原則ですから、これを抜きにしてIMF(国際通貨基金)、世界銀行、WTO(世界貿易機関)のいずれも存在できないのです。今の国際経済のシステム全体が自由貿易体制を前提にしている以上、いくらトランプ政権が「自由貿易体制を潰して保護貿易主義に転換する」などと主張しても、その実現はきわめて難しいといわざるをえません。国際経済の基本原則である自由貿易体制は強力なのですから、逆にいうと、トランプ政権は保護貿易主義の旗を振り続けるなら力を取り戻すことはできないでしょう。早晩、トランプ政権もTPPに復帰することになるはずです。