「嫉妬」とうまくつきあう方法~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

嫉妬と上手につきあう

新しい連載で、数か月後には書籍となる予定の「嫉妬の取扱説明書」です。

人間には喜怒哀楽といった様々な感情がありますが、嫉妬も人間が抱く感情で、誰でも感じるものです。

たとえば幼児であっても、自分に妹や弟ができて親の愛情がそちらに注がれることに嫉妬することがあります。

思春期になれば、スポーツができるかどうか、モテるかどうか、勉強ができるかどうかで比較されます。恋愛でも嫉妬はつきものです。

社会に出れば仕事上の成果や昇進などで遅れをとると、「なんでアイツが」という感情を抱きやすいでしょう。

そのほか、結婚で配偶者のスペックを比較しあったり、持ち家か賃貸か、所有しているモノ、子どもの進学先などでも、他人と比べては嫉妬する人もいます。

老後を迎えてからも、自分より有能な若者を見れば反発したくなったり、自分より楽しく過ごしている友人に嫉妬するかもしれません。

このように、この嫉妬というものは一生付き合っていく感情です。

しかし喜怒哀楽とは異なり、他人に打ち明けられない感情、共感されにくい感情、認めたくない感情ではないでしょうか。

多くの人が「自分はあの人に嫉妬している」とは言いたくないし、認めたくないもの。なのに激しい嫉妬心にとらわれると、自分を否定したり、時には相手を否定したり、苦しい思をします。

そしてこの感情を上手に制御・処理できなければ、長期間にわたりじわじわと心をむしばんでいくことになりかねません。

一方、嫉妬心から「競争心」につながることも多く、「負けるもんか」という発奮のエネルギーにもなるのが嫉妬の特徴でもあります。

そう考えると、「なんでアイツが」という嫉妬の感情を、「足を引っ張ってやる」というネガティブな発想ではなく、「自分だってやってやる」という方向に持っていければ、一生つきあっていく感情であるがゆえに、人生に大きな差が出るというのはおわかりいただけると思います。

嫉妬も人間に備わった感情。必ず何かの意味があるはずです。

だから嫉妬から目を背けるのではなく、嫉妬という感情とその意味を深く理解することで、嫉妬心の制御の方法、活かす方法が見えてくるのではないか。そして、より幸せな心の状態を作り出し、自分らしく生きることにつながるのではないか、という思いで本書を執筆しました。

もう一つ、私自身はほとんど嫉妬を感じないのですが、そんな私がなぜこのテーマに興味を持ったのか。

それは、嫉妬がない人が幸せかというと必ずしもそうではないからです。というのも、嫉妬という感情がなければ、どういう状況やシチュエーションで人が嫉妬の感情を抱くのかわかりません。だから余計な一言で嫉妬され、時には引きずりおろされることがあるのです。

他人からの執拗な嫉妬攻撃により、不快な気分にさせられたり、時には精神を病んだり、不遇な目に遭わされたりする人も少なくありません。

たとえば国会議員の鈴木宗男氏や元外務省で現在は作家の佐藤優氏も、ある外務官僚の嫉妬により職を追われ投獄されたと、佐藤優氏の著作で述べられていました。

ほかにも、ある若手アナウンサーが冠番組に抜擢されたら、その人の異性スキャンダルが暴露されるということもありました。

芸能界でも異性関係が暴露されるのは、同業者や関係者の嫉妬がからんでいるケースが多いと言います。

堀江貴文氏や投資家の村上世彰氏のように、年長者から嫉妬されれば抹殺される。

税務調査も、税務署にタレコミがあって入るケースも少なくないそうですが、どうでもいいと思っていればチクる必要はなさそうなもの。やはり羽振りの良い人や儲かっていそうな人は嫉妬の対象になるのでしょう。

会社員でも、根も葉もないウワサを流されて左遷させられたり職を追われたという話は珍しくありません。

このように、あまりに嫉妬に無防備だと、嫉妬に狂った他人から実害を受けるリスクがある。

逆にどういう場面で人は嫉妬をするか、どんな人が嫉妬しやすいか、どんな人が嫉妬されやすいかを知れば、そういった輩から自分を守ることもできるでしょう。

そもそもなぜ私が嫉妬の感情に支配されないか、その理由は後日ご紹介しますが、私自身そういう感情が欠落していることもあり、興味を覚えて考察したくなり、本書を書くこととなりました。

いずれにせよ、この嫉妬という感情を味方につけることで、平穏な日常を送るための知的武装と強いメンタルを獲得するきかっけになるのではと思い、考察・連載します。



夢・目標実現のための思考ノート

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