日本の「平等」、アメリカの「フェアネス」 ハーバード留学記Vol.4 山口真由

ハーバードの合格通知で知る 日本の「平等」、アメリカの「フェアネス」

今回は、日本の「平等」とアメリカの「フェアネス」は、違う概念ではないでしょうかという話をしてみたい。

短く言えば、みんなを同じに扱うのが日本の「平等」。それに対して、個別の事情に合わせて調整するのがアメリカの「フェアネス」。

すぐに気づくと思うが、アメリカの「フェアネス」というのは、日本の「不平等」に当たる場合がある。テストで同じ点数をとっても、個別の事情によってA君は減点され、B君は加点され、二人の間に差がついてしまうということが起こる。それでも、アメリカはそれを「フェア」という。

どうして、この違いが生まれてくるのだろう?実はこの背景には、アメリカが超がつくほどの格差社会であることがあげられると思う。いったい、どういうことだろうか…

1. ハーバードからの合格通知!!でも、それすら「個別の事情」ごとに内容が違う!!

日本の合格発表の風景と言えば、掲示板に一斉に合格者の名前が並ぶあれ。それに対して、アメリカの場合には、合格通知はAdmission Letterとして個々の学生へのお手紙の形で届く。なぜならば、それぞれの学生ごとに「合格通知」の内容が異なるから。えっ、それってどういうこと??私の場合について、説明していこう。

年度末も押し迫った3月の中頃、ハーバードから合格通知が届いた。

パソコンのリンクをクリックすると、”Congratulations!”の文字。「わーい!やったー」と叫んだのも束の間、私のAdmission Letter(合格通知)は条件付きだった。

そう、英語を学ぶためにサマースクールに通うこと、それを条件として入学を許可する、私の合格通知にはそう書かれていた。

思い出してほしい。私のTOEFLの点数はリーディング29点、リスニング30点、ライティング28点、スピーキング18点の合計105点。ハーバードが公式に掲げる合格条件は、TOEFL合計100点以上、かつ、それぞれのパートが25点以上。私のTOEFLの点数の合計は100点以上だったものの、スピーキングが25点を下回ったため、サマースクールへの入学がコンディションとして付いてしまったのである。

2. 画一主義 vs 個別主義

ここで、私たちは重要なことに気づく。日本の大学とアメリカの大学との間の明確な違いである。

[日本の大学]

入試は画一的で裁量の余地はほとんどない。「TOEFL何点以上が必要」という条件が付いている場合、それを満たさないと足切でアウト。それ以外の条件がどれだけよかろうと、ここは変わらない。

[アメリカの大学]

アドミッションは決して画一的なものではない。「TOEFL何点以上が必要」という条件がついていも、それを満たさなくても、「じゃあ、サマースクールに行ってね」と言って受かったりする。これは他の条件でも同じこと。「大学の成績が悪いんだったら、ペーパーを提出してね」とか、「このリサーチ付き合ってね」とか、個別に条件が付きながらも合格できる。

そう、アメリカの大学は、各生徒に対して、「特別のおはからい」をしてくれる。英語が苦手ならば、英語を学んでからくればいいじゃない。今年、ロースクールに来られない事情があるなら来年まで待ってあげる。これは、何も留学するときだけの問題ではない。留学した後だって、個別の事情にもとづく「特別のおはからい」が許されてしまう。

あの人だけひいきするなんて「不平等」じゃないか、日本ならこう思われるかもしれない。

しかし、個別の事情に合わせて調整するのが、アメリカの「フェアネス」なのである。

これは、日本の平等、アメリカのフェアネスの違いである。この背景を考えてみたい。

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