不安を抱えながらも、サマースクールを卒業してハーバードに入学した私。8月はずっと続くオリエンテーションで少しうんざりしていたが、個性あふれる魅力的なクラスメイトたちと出会うことになった。これから何回かに分けてクラスメイト達のお話をしていきたい。
まず最初は親友になった香港の美少女・シャロンのお話。彼女を通して、香港と日本の教育制度の違いや、香港で話されている広東語との比較で、日本語の特質について考えてみたい。
1. 香港から来た美少女
シャロンを初めて見かけたのはオリエンテーションの1日目。その日、私たちLL.Mの生徒たちは、朝早くから大きなホールに呼ばれて、朝食を食べながらみんなで親しくなりましょう、みたいな会に参加していた。パン、ベーグル、温かい卵料理、ベーコンやコーヒーが並び、それを取って立食がてらお話をしましょうみたいな、イベントである。立食というのはただでさえ落ち着かないが、英語に自信がないからさらにおどおどしてしまう。
そんな中、クラスメイトたちの中に、「抜けるような白い肌」という言葉がぴったりな白い肌に、黒い髪を長く伸ばしたきれいな女の子がいることに気づいた。彼女が私に話しかけてきてくれた時、私はその英語がネイティブかと思えるほど流ちょうなことに気づいた。たとえ英語がうまくても、普段、英語を話していないであろう人はゆっくり英語を話してくれる。それに対して、普段から英語を話し慣れている人たちは、とにかく話し方が速いし、スラングみたいなくだけた表現を頻出する。だから、英語の上手い下手にかかわらず、「あっ、この子は普段から英語を話しているんだな」ということが、一目瞭然になるわけである。
香港の共通言語は広東語だと思っていた私は、シャロンの話す、すさまじく速い英語にびっくりした。あれ、この子は、普段から友達とのコミュニケーションも英語なのかなと思ったわけである。
2. 香港式の英才教育
仲良くなってから彼女に聞いたのが、月日とともに向上していく香港の英語教育である。
香港には大きく分けて2種類の学校があるという。ひとつは広東語で授業する公立校、もうひとつは英語で授業するインターナショナル・スクール。後者の場合には学費がすさまじく高く、香港に駐留している(すさまじく給料の高い)欧米の駐在員(expat)の子弟くらいしか行けないのが現状だとか。これはまあ日本も似たようなものである。だから、香港に住む人みんなが英語がうまいわけではなくて、そうではない人もたくさんいる。
けれども、香港にはインターナショナル・スクール以外に、ローカルな人々を対象にして、英語で授業を教える、さほど学費が高くない学校もできはじめているらしい。そして、シャロンもそういう学校にかよったのである。