月に一度、日曜の朝にじっくりと写真集を読む時間。
10月26日の「飯沢耕太郎と写真集を読む」。
今回のテーマは〈牛腸茂雄の写真集〉でした。
これまで、この講座では光画、VIVO、PROVOKEといった写真家たちの活動を紹介してきましたが今回は1人の写真家にスポットを当てています。
牛腸茂雄は1946年に新潟県加茂市にて、金物屋の次男として誕生。
小さいころに胸椎カリエスという骨の病気を患い、20歳まで生きられないと宣告されながらもグラフィック・デザイナーを志して19歳のときに上京しました。
桑沢デザイン研究所に在学中に写真家であり講師だった大辻清司によって写真の才能を見出されます。
36歳でその短い生涯を終えるまでのおよそ15年間で『日々』『SELF AND OTHERS』『見慣れた街の中で』の3冊の写真集を残しました。
飯沢さんのお話を聞きながら、1枚1枚じっくり写真を見て行きます。
こども、友人、家族、街ですれ違う人々をこまやかに捉えている写真は、病のために送ることができなかった少年時代や何気ない日常を「願望の自画像」として被写体に投影しているようです。
また、牛腸と被写体という自己と他者の関係だけでなく、写真を見ている私たちも被写体に自分を重ねてしまうような不思議なまなざしを感じます。
写真家について詳しくなると写真のみかたも奥深くなりますね。
今回はいつもより少人数の講座になりましたが牛腸茂雄の写真が好きな方ばかりだったようでした。
好きな写真を人と共有するのは楽しいですね。
(2014年10月26日開催・写真/文 館野 帆乃花)
「飯沢耕太郎と写真集を読む」はほぼ毎月、写真集食堂めぐたまで開催されています。
2017年1月開催分からは解説のたっぷり入ったロングバージョンをお届けします。
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