※2009年9月発売号の原稿です。
第4回目は燃えたぎるスーパーロボットもの。『鋼鉄神ジーグ』(販売元/ポニーキャニオン)のBD BOXを取りあげる。2007年に放送された全13話のテレビシリーズだ。
原作は『マジンガーZ』の永井豪。1975年の前作『鋼鉄ジーグ』は、主人公がサイボーグに変身して頭部パーツになる設定、磁石と球体関節による玩具の自在なポージング、幻の邪馬台国を題材にとった和風ファンタジー的設定など、当時から異彩をはなっていた。それから30年以上を経た本作『鋼鉄神ジーグ』はリメイクではなく「続編」の体裁をとって、ファンを驚かせた。
邪魔大王国はジーグの封印を破り再始動。熱血児の草薙剣児が美少女つばきのサポートを受け、新ジーグになってハニワ幻神を相手に激闘を始める。永井豪作品ならではのエネルギッシュなアクション&お色気が満載。暴走モードで叩きつけるようにノンストップ感覚でロボットアニメの楽しさを見せつける、快感重視の作品である。
監督は川越淳。『サイボーグ009』('03)、『新ゲッターロボ』('04)など原作漫画へのリスペクトあふれるリメイク作品を手がけ、原作者の絵柄を活かしながら豪快な作風に仕上げる手腕に定評のあるクリエイターだ。アクション、アクション、またアクションで積んでいく急流のごとき豪快な映像は、実にすばらしい。バイクや戦闘機はCG中心で処理され、ロボットの手描き作画による柔軟でダイナミックな動きと組み合わせている。そのマッチングは実に見事。情報量の多さ、動きの激しさは、今回のブルーレイ化でようやく真価を発揮するのではないか。
先代ジーグとジョイントを共通化して、アースパーツ、スカイパーツ、マリンパーツなど武装を次々に交換していく新ジーグ。ヒーローロボがぐいぐいと物語を引っ張っていく戦慄のテンションは、やがてクライマックスを迎える。そこにはなんと! 先代ジーグと新ジーグとの共闘が待っているのだ。最後の最後まで目が離せない物語の凝縮感は、まさにBOX向きだ。
ドラマ的にも人の心の問題や、はるか悠久の時を越えて受け継がれていく精神の尊さ、50年の時空を越えた愛さえも描かれていて、決してバイオレンス一辺倒ではない。これを見ずしてスーパーロボットものを語るなかれと言いたくなるほどのハイテンション作品が『鋼鉄神ジーグ』なのだ。百ページを超す超豪華ブックレット(編集:氷川竜介)ともども、ぜひ手にとっていただきたいBOXである。
【2009年8月26日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)