女王様のご生還 VOL.231 中村うさぎ

「いのちの電話」とかいう自殺防止のためのコールセンターがある。

自殺しようか迷っている人がそこに電話をかけるといろいろと話を聞いて相談に乗ってくれて、最終的には自殺を未然に防いでくれるそうだ。

私は電話した事がないのだが、いったいどんな人がどんなアドバイスをしてくれるのか、昔からものすごく関心がある。

しかしまぁ興味本位で電話なんかしたら申し訳ないし、今のところ思いとどまっているわけだが、死ぬまでに一度くらいかけてみたいなぁ。



私の考え方を知っている人は先刻承知の事と思うが、私は「生きていくのが嫌なら別に自殺してもいいんじゃない?」と思っている。

だから他人の自殺を止める気はさらさらないし、死にたい人を説得して自殺を止める事が正しいとも思わない。

むしろ大きなお節介じゃないかと感じているくらいなんだが、「いのちの電話」にかけて来る人は本気で死ぬ気などなくてただ話を聞いて欲しいだけなんだろうから(だって死にたい人は黙って死ぬからね)、まぁそれは需要と供給が成り立ってめでたしめでたしなんだろう。



「いのちの電話」に電話をかける人の気持ちはわからないでもない。

世の中には、とにかく自分の話を聞いて励ましてくれたりアドバイスしてくれたり心優しい毒舌でツッコミ入れてくれる相手を求めている人が大勢いるもんだ。

私が理解できないのは、ボランティアで「いのちの電話」のアドバイザーをする人たちの気持ちだ。

こういう人たちって普段から、頼まれてもないのに他人にあれこれアドバイスしたり干渉したりするんだろうか。

それ、めっちゃウザい人じゃない?



こういう人たちは自分の事をすごく親切な人間だと思っているのだろうが、私に言わせれば傲慢以外の何物でもない。

そもそも自分が他者を救えると思っている時点で、とてつもなく傲慢だ。

しかも、無責任である。

たとえば誰かに自殺を思いとどまらせたとして、その人の今後の人生に責任が取れるのか?

「あの時死んでいればこんな事にはならなかったのに」と後悔する羽目になったらどうするんだ。

その人の人生に何をしてあげられる?

我々は自分の人生すらコントロールできないのだ。

ましてや他人の人生など何が起きるか予想もつかないではないか。

生きていれば必ずいい事があるなんて誰にも保証できない。

自分だっていつ死にたくなるかわからない。

なのに何故、他人に「生きろ」なんて言えるんだ?

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