消えた駅弁18「おらだのごっつお/山形駅」

 弁当名は山形弁で「おれたちのごちそう」の意味。山形県のごちそうといえば米沢牛を筆頭に、カニ、そば、サクランボ、ラ・フランス…などなど海山の幸が盛りだくさんだが、県では豚肉の生産にも力を入れており、ブランド化も進んでいる。

 駅弁「おらだのごっつお」で使用されているのは庄内豚。引き締まった肉と、きめ細やかな脂肪が醸し出す豊かな味わいが特徴の高品質豚肉だ。

 県産米のはえぬきを炊いたご飯の上には、厚切りされた庄内豚が折り重なるように盛られている。一見、チャーシュー丼のイメージだが、豚肉は表面をこんがりと焼いた後でボイルし、県産のラ・フランスとサクランボのピューレを使用したタレに漬け込んで仕上げている。やわらかい肉質を維持しながら、豚肉のまろやかな旨みとタレのフルーティな味覚が見事に合体している。

 副菜の中では、野菜と唐辛子を細かく刻んで醤油漬けにした「オーからい」があとを引く。その名のとおりピリッと辛い漬物で、豚肉丼のほの甘い味覚にアクセントを加える。ビールのつまみにも最高!

 このほか山クラゲ、甘酢生姜、厚焼き卵なども収められており、ごちそうの名脇役として存在感を示している。

 2013~2014年頃にしばしば食べた駅弁で、2017年ごろまで販売していたが、いつの間にか消えてしまった。好きな駅弁だっただけにカナシイ。

 調製元の森弁当部は1945年の創業。2015年に合同会社もりべんに社名変更している。

1000円(当時)/森弁当部 ※2015年より合同会社もりべんに社名変更