女王様のご生還 VOL.104 中村うさぎ

誰かを愛したら、それが自分のエゴではないかと自問自答する必要がある。

本当に相手のためを考えているのか?

相手のためと言いながら、自分に都合のいい行動を求めてはいないか?



愛されたくて、相手に嘘をつくことがある。

嘘をついているのは苦しいが、真実を打ち明けて愛を失うのはもっとつらい。

だからその嘘をつき続けることになるのだが、嘘というのはいずれバレるものである。

その日が来た時に、傷つくのはどっちだ?

嘘がバレて相手の愛を失う自分か?

ずっと嘘をつかれていたことを知った相手か?

言うまでもなく、相手だろう。

今まで自分が愛してきた人が嘘に塗り固められた虚像だと知った時、まるで赤の他人を見るかのような衝撃を受けるからだ。

ならば、「嘘をつき続ける」という選択は、あなたの自己保身、すなわち自己愛に過ぎない。



嘘をつかなければならない相手とは、距離を置いて付き合わなくてはならない。

関係が近くなればなるほど嘘はバレやすくなるし、相手も傷つくからだ。

なのに、自分の利益を守ることばかり考えて嘘をつき通し、それを「愛」ゆえだと正当化する人間がこの世には少なからずいる。

それは相手の心を手に入れることに執心しているだけのエゴイズムで、「愛」とはかけ離れた行為なのだというのに。



が、一方、私はこういう欺瞞に満ちたエゴイストをどうしても許せない自分に、ほとほと愛想をつかしかけている。

私は己の「正しさ」に固執しているに過ぎない。

「正しさ」の名のもとに他者を攻撃し排斥する人々を批判しながら、私こそ自分の正しさで人を裁いているではないか。

私は自分の「不寛容」さに絶望する。

どうして我々は、こんなにも自分が正しいと思い込むのだろう?

その思い込みこそが諸悪の根源だというのに。

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