BDアニメ 厳選!俺流アニメ 第21回『キルラキル』『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』

※2014年4月発売号の原稿です。当時公開の劇場映画レビューつきです。

【惹句】流浪の女子高生がすべての状況を変える! 野性味あふれるアクションと情熱のドラマが炸裂!!

●野生の女子高生がセーラー服で権力の頂点へ戦いを挑む

 無頼で粗暴で人を寄せつけないムードをもつ流浪の流浪のセーラー服女子高生・纏(まとい)流子。強いものには牙をむき、弱いものには照れながらも心を開き、優しさをみせる。

 そんなTVアニメ『キルラキル』は、『男一匹ガキ大将』『男組』など昭和40年代から50年代にかけて少年漫画を席巻した「不良もの」の転生である。

 脚本家・中島かずきと今石洋之監督たち『天元突破グレンラガン』をつくり出したチームが再結集。生命繊維という設定を導入し、「極制服」を着ることによって特殊能力を発揮する者たちの圧制に、流子は熱い戦いを挑む。

 殴られた者が宙を舞い、コンクリートの壁にぶち当たって粉砕するなど、肉体を駆使した破天荒なバトルアクションの快楽と、感情を極限まで解放して遠慮なくぶつけ合うドラマが一体化する。毎回毎回が最終回かと思えるようなハイテンションで進んでいくから、たまらない。

 流子とともに戦い、変身能力をあたえる「神衣(かむい)・鮮血」は人語を発する黒いセーラー服。その友情を筆頭に、孤独だった流子が戦いを通じて多くの者と心を通いあわせていくプロセスは、実に感動的だ。

 学園を支配する恐怖政治への叛逆も全体の中では単なる一過程にすぎず、中盤以後は人類の命運をかけた地球規模の抗争へと発展する。大風呂敷でSF的なストーリー展開には呆然としながら心がもって行かれてしまうはずだ。

 ややもすると小さくまとまりがちなアニメの物語。そんな閉塞感を全身全霊で粉砕するエネルギッシュな全24話(ソフトは25話)を堪能してほしい。

●新たな『映画クレヨンしんちゃん』は、中島かずき脚本!

 第22作となった『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』。今年はなんと『キルラキル』と同じく中島かずきが脚本を担当している。

 ある日、ロボットになってしまった父ひろし。料理や掃除なども的確にこなすようになったロボとーちゃんに、野原家は大喜びだ。しかしそれは「父ゆれ同盟」の巨大なる陰謀で……と、いつものように悪の組織と対決する、しんちゃんたち野原家の活躍と家族愛が描かれる。

 中島かずきは原作刊行の双葉社に勤務していた時期、映画版の研究本を編集している。『映画クレしん』の魅力を隅々まで知りつくした上でどんな物語がつむがれるのか、実に楽しみだ!

【2014年3月29日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)