BDアニメ 厳選!俺流アニメ 第20回『千年女優』『劇場版 モーレツ宇宙海賊』

※2014年2月発売号の原稿です。当時公開の劇場映画レビューつきです。

【惹句】現実か虚構か、幻想世界への扉がいま開かれる! 世界的評価を得た逸品が高画質で!

●千年の時空を越えて貫かれる一途な想い

 2010年、今 敏監督が46歳の若さで亡くなったとき、世界中から追悼のメッセージが寄せられた。虚実交えた独特の風格のある映像スタイルやアイデアは、『インセプション』や『ブラックスワン』など、さまざまな映画に影響をあたえてきた。

 そんな今 敏監督の作家性みなぎる2002年の映画が『千年女優』だ。文化庁メディア芸術祭と毎日映画コンクール・大藤信郎賞をダブル受賞した評価の高い逸品である。

 物語は引退した映画女優・藤原千代子のもとへプロデューサーが映像インタビューに来るところから始まる。だが、彼女の身の上話だったはずの映像は、カメラマンとプロデューサーを巻き込んで暴走を始めてしまう。いったい実体験なのか、彼女の出た映画の話なのか。

 虚構と現実が入り乱れる中、戦時中の中国大陸から戦国時代、江戸・明治時代からはるかな宇宙の果てまで、時代も舞台も、そして千代子の役柄も次々と鮮やかに変化する。

 どんなに状況が変わろうとも、千代子がただ一度会った“鍵の君”への想いだけは変わらない。その気持ちの強さが、世界の枠組みを解体し、千年の時空を超越していく……。

 リアルな作風と、本来つながるはずのない時空がジャンプしたときに感じる幻惑感。そして思わず苦笑いするブラックユーモア的展開と、不思議な魅力が詰まった映画である。セルアニメ時代末期の作品だが、絶妙にコントロールされた画面設計と色合いは、今回のリマスターで芸術的な極みに到達した。

 磨き上げられ、珠玉のように輝く美麗な映像と千代子の不思議な旅路の果てを、ぜひとも満喫してほしい。

●女子高校生で宇宙海賊 決断力が魅力のスペースオペラ!

 今月の必見映画は『劇場版 モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵』(2014年2月22日公開)。笹本祐一の小説を『機動戦艦ナデシコ』の佐藤竜雄監督がアニメ化したスペースオペラ、通称「モーパイ」の劇場映画化だ。親のあとを継いで宇宙海賊になるよういきなり告げられた女子高生・加藤茉莉香。

 TVシリーズでは、とまどいながらも仕事仲間や学友たちと苦難をのりきり、リーダーとしての自分を高めていく様子が、すがすがしく描かれていた。今回は「謎の少年」の登場、「宝探し」という海賊にふさわしいシチュエーションなどなど、劇場用にスケールアップ。茉莉香の気っ風のいい活躍でを見れば、元気いっぱいにリフレッシュされること間違いなしだ!

【2014年1月31日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)