女王様のご生還 VOL.128 中村うさぎ

前回のオフ会でお答えする時間のなかったご質問、これが最後のやつです。



「唐突ですが、うさぎの嫌いな政治ネタです。

うさぎさんは現政権の安倍首相をどう思いますか?

多くの市民が安倍首相を糾弾していますが、うさぎさんしはどう思いますか?

また現憲法は変えるべきだと思いますか?」



まず初めに、私は政治ネタが嫌いなのではなく、政治にあまり関心がないだけです。

関心がないから知識もなく、したがってきちんと責任を持って回答できません。

だから政治ネタに関して意見を言うのを避けているのです。

MXTVで「私に政治ネタを振らないで」とお願いしたのは、そのためです。

政治ネタが嫌いなのではなく、無責任な発言をするのが嫌いなのです。

この違い、わかりますか?

私にとっては全然違う事なんだけど、MXTVのスタッフたちも私の意図を理解してなかったようなので、もしかすると誰にもわかってもらえないのかもしれません(苦笑)。



でも、オフ会に来てくださったお客さんのご質問にはお答えする責任があるので、しぶしぶ、安倍首相について軽く調べてみました。

たぶん一夜漬けでは彼の政治的モットーなど難しいことは理解できないだろうし、正しいのか間違っているかなんてとてもじゃないけど判断できないので、とりあえず彼の発言を調べて感想を述べる程度にしときます。

ちなみに資料は「Wikiquote」です。



まず、彼が「背後」を「せご」、「云々」を「でんでん」と読んだという記述に抱腹絶倒しました。



●「でんでん」の使い方・例文

「民進党の皆さんだとは一言も言っていないわけで、自らに思い当たる節がなければ、ただ聞いていただければ良いんだろうと思うわけで、訂正でんでん(云々)という指摘は全く当たらない」 (2017年1月24日、参議院本会議で蓮舫・民進党代表の代表質問「まるで我々がずっと批判に明け暮れているとの言い方は訂正してください」に答えて。)



この「でんでん」発言は有名みたいで、あちこちでからかわれてるようですが、私はまったく知りませんでしたよ。

めっちゃ面白いじゃん、安倍!

総理大臣としては教養なさ過ぎだと思うけど、友達としてならひとり欲しいタイプかも。



うろ覚えで恐縮だが、確か彼が首相になった時のスローガンは「美しい日本」だったと思う。

当時、私はとあるニュース番組の司会をしていて、彼のこの「美しい日本」というスローガンを「何かいいこと言ってるようで、じつは何の実体もないスローガン」と批判した覚えがある。

そもそも「美しい日本」の「美しさ」の定義は何なのか。

「美しい」なんて概念はそれこそ千差万別で、一介の政党が国を代表して定義するようなことじゃなかろう。大きなお世話だ。

そんなわけで今でも「嘘くせぇスローガンだよな」と思ってるけど、それより何より、「美しい日本」を目指すんであればせめて「正しい日本語」を勉強して欲しいと思いまーす!



さらに、彼が「森羅万象」という言葉をやたら多用するのも面白かった。



●「森羅万象」の使い方・例文

「総理大臣なので森羅万象全てを担当しています」 (2019年2月6日、国会で答弁)



いやいやいや……一介の総理大臣が森羅万象なんて担当してるわけないから!

おまえは神かよ!!!(笑)

「森羅万象」という言葉の意味を知らないのか、あるいは本気で森羅万象を司ってるつもりなのかは不明(おそらく前者)だが、これを単なる「無知のなせるワザ」と解釈するのはもったいない。

些細な言い間違いにこそ無意識は宿る、とフロイトも言ってるじゃないか。

この言葉から窺えるのは、彼の無自覚な万能感である。

わざわざ「森羅万象」などという言葉を使わずに「総理大臣なのですべてを担当しています」とシンプルに言えば済むものを(だが、もちろんそれも間違っている。総理大臣職はべつに日本国の「すべて」を担当してるわけではないのだから)、なんか知らんけど張り切って大げさな言葉を意味もわからず使ってしまったために、まるで「我は神なり」とでも言ったかのような尊大な印象を与えてしまった。

が、そもそも、このような大げさな言葉を使うこと自体が、彼の誇大妄想的な人格を示唆しているとは言えまいか。

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