BDアニメ 厳選!俺流アニメ 第8回『COWBOY BEBOP』『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』

※2013年1月発売号の原稿です。当時公開の劇場映画レビューつきです。

【惹句】オトナなムードを漂わせた太陽系のアウトローたち。気だるくも濃密な空気感を、高精細な映像で満喫!

●高密度映像がハードで とぼけた感覚を支える

 本作の味わいはごった煮的だ。悪党を賞金稼ぎが追う無国籍なハードボイルドものであり、西暦2071年の宇宙開拓が終わりかけた太陽系という黄昏時のウエスタン調の空気もある。同時に気だるくとぼけた会話の雰囲気は1970年代のTVドラマを連想させる。そんなカオス感に菅野よう子によるジャズ中心の多彩な音楽が重なることで独自の世界観を醸しだした孤高の作品が『COWBOY BEBOP』だ。

 初出は1998年の地上波テレビで夕方の放送だったが、麻薬犯罪に銃撃戦などの刺激的な内容のため、半数しかオンエアできなかったいわくつきである。WOWOWと初期のDVDで初めて全話が鑑賞可能という点で、深夜アニメへの転換の呼び水ともなった。

 今回のBlu-ray化で嬉しいのは、アナログ時代末期に頂点を迎えたセルアニメの濃密な画づくりが隅々まで見えること、そして渋く軽妙な声の演技と音楽が最高の音質で享受できることだ。一部はデジタル技法だが、やはり手づくりの生々しさが高精細化で際だつ。

 川元利浩氏らによるデリケートな美意識のキャラクターやメカの描線、絶妙な調色で仕上げられたセル画のツヤっぽさ、エアブラシや筆で一枚ずつ細やかに処理された特殊効果など、イラストをそのまま動かしたような迫力が出ている。その体臭が人間くさいドラマと有機的に化合し、楽器やセリフの波動と響き合うビビッドさが満喫できる。

 バラエティ豊かな1話完結が原則ではあるが、最終回に向かって進んでいく主人公スパイクの物語も見逃せない。真っ当な社会から弾き出された者同士が、追いつ追われつの果てにたどりつく終着点まで一挙に鑑賞できるのも、BOXならではのお楽しみであろう。

●剣と甲冑の重みが表現

 されたハイブリッド作品

 今月の必見映画は『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』。三浦建太郎の原作漫画は「剣と魔法」のファンタジー世界を、重厚な戦闘アクションと細やかな心理描写で彩った世界的な超人気作品だ。重い甲冑を着た剣士のボディは3DCGで描き、顔を手描きの作画で修正するというハイブリッド手法で制作した映像は実にユニーク。

 大軍勢による城塞攻略やモンスター戦などCGの強みを活かしたシーンに感情表現をあわらにした絶妙な表情芝居が加わって、新たな語り口を創出している。初期エピソード三部作の締めくくりに相当する本作は、ひとつの頂点を極めた点で見逃せない!

【2012年12月17日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)