女王様のご生還 VOL.101 中村うさぎ

生きてることに行き詰まってる人は、とりあえず世界を広げた方がいい、と私は思う。

思うように生きられない、他人に気を使い過ぎて息が詰まる、どこにも居場所がないと訴える人は、たいてい住んでいる世界が狭いからだ。



周囲と価値観が合わないのは、あなたの価値観が間違っているからではなく、むしろ周囲の価値観が非常に偏っていたり狭量だったりするせいかもしれない。

もっといろんな人と触れ合い、多様な価値観を学べば、今まで縛られてきた世界がどんなに視野狭窄だったかわかるし、自分なりの価値観で生きていくことへの罪悪感が薄れるはずだと思うのである。



SNSなどで世界が広がった気になってるけど、あそこでも結局は価値観や世界観を共有できる似た者同士が繋がるだけなので、世界はちっとも広がらない。

自分と違う人たちともっと積極的に関わらなければ、「多様性」なんて単なる概念に過ぎないのだ。

「居場所のなさ」にしたって、今いる世界に居場所がないだけで、別の場所にはあるかもしれない。



だが、これだけは覚えておいて欲しい。

どんなに世界が広がっても、我々は基本的に「孤独」である。

「多様性」を知るということは、「孤独」を知るということなのだ。

あなたの「居場所」はきっとあるけど、それはあなたとまったく同じ価値観や世界観を持っている人々のコミュニティではなく、むしろあなたと違う人々の中なのだと私は思う。

そこであなたは「人はひとりひとり違うのだ」という事実を受け入れ、他者の価値観や世界観を尊重することを学ぶのだ。

そうやって「他者を受け入れる」ことを学んで初めて、あなたは「他者に受け入れられる」のである。



「居場所」とは、「私はここにいていいんだ」と思える場所だ。

だが、それは必ずしも、あなたとそっくりな人々が集まる場所ではない。

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