BDアニメ 厳選!俺流アニメ 第19回『ロードス島戦記』『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』

※2013年12月発売号の原稿です。当時公開の劇場映画レビューつきです。

【商品名】OVA版「ロードス島戦記」デジタルリマスターBlu-ray BOX

【惹句】ドラゴンが襲いかかり、パーティーが多彩な能力で迎撃。異世界ファンタジーの決定版!

●剣と魔法の世界を緻密な映像で描きぬく冒険活劇

 ロールプレイングゲームと言えばコンピュータによるプレイが有名だが、大本はテーブルトーク形式から始まったものだ。この『ロードス島戦記』は水野良とグループSNEによるリプレイを小説化して大ヒット。さらにアニメ化により、『指輪物語』を元祖とする異世界ファンタジー映像を日本に定着させた歴史的な作品である。

 今回のBlu-ray化は1990年から全13話でリリースされた最初のOVAである。暗黒皇帝と魔女が支配する暗黒の島ロードス。そこで冒険を展開するのは戦士、盗賊、僧侶、魔法使い、エルフ、ドワーフというパーティーだ。

 キャラだてや衣装などは後世に大きな影響をのこしているが、その原案は小説版イラストを手がけた出渕裕が担当。アニメ用のキャラクターデザイン・総作画監督は結城信輝で、後の『宇宙戦艦ヤマト2199』コンビの作品でもある。

 今回は35ミリネガからのリマスターにより、従来(レーザーディスク時代のマスター)をはるかに超えた高画質となり、制作のマッドハウスならではの緻密で濃厚な描きこみによるロードス世界が本来の姿で再現されている。

 200ページ弱の分厚い解説書に当時の原画やイラスト類が大量に収録されているのも嬉しいところ。セル画は通常トリミングされてしまう塗りや背景の端の部分まで見せているので、すべてが手づくりだった四半世紀前のこだわりが手にとるように伝わってくる。

 「異世界の勇者アニメ」が量産されている現在では素朴に見えるかもしれないが、本作が今の隆盛につながる「スタンダード」をつくったことは間違いない。原点のもつ濃厚さを、ぜひとも高画質で確認していただきたい。

●魔法がつなぐアニメ表現の自在さが和製物語の原点を

 今月の必見映画は『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』(2013年12月28日公開)。『Fate/Zero』などTYPE-MOON作品をハイクオリティ映像化してきた制作スタジオ、ufotableの劇場長編だ。「魔の国」に暮らす「のろい屋」の姉妹ヨヨとネネ。ある日、森にビルや住宅が出現し、ヨヨは魔方陣経由で魔法の存在しないわれわれの現実世界へと来てしまう……。

 監督は『劇場版 空の境界 矛盾螺旋』を担当した平尾隆之。魔法と人の心が大騒動を巻き起こし、美麗な景観描写と主人公のアクションが解決への流れをつくっていく。子どもから大人まで幅広く楽しめるエネルギッシュなアニメーション映画である。

【2013年11月30日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)