女王様のご生還 VOL.192 中村うさぎ

何年か前に「売春規制への反対意見」および「表現規制への反対意見」をテーマにした2冊の自費出版本を出そうとして、その資金をクラウドファウンディングで募った。

このメルマガ購読者の皆さんの中にも、出資してくれた方々がいらっしゃることと思う。



このうち「売春規制への反対意見」本は「エッチなお仕事なぜいけないの?」というタイトルでポット出版から発刊した。

が、その次の「表現規制への反対意見」本が未だ出ていない。

これにはじつは理由があって、本のための対談や鼎談も既にひととおり済ませてテープ起こし原稿も上がっており、自分で書く部分も半分くらい書きあがっていたのだが、そこでパソコンがぶっ壊れてしまい、すべてのデータが失われたのだった。

そう、対談や鼎談のテープ起こし原稿も、自分が書いた原稿も何もかも、すべて!



この時の私の衝撃と絶望をご推測いただけるだろうか?

なんかもう膝から力が抜けてガクーーーンと崩れ落ちる感じだった。

終わった……と、思いましたよ。

何本もの録音データを業者に再依頼して文字原稿に起こしてもらい(当然、経費が倍かかる)、既に書いた自分の原稿もまた一から書き直す、という作業を想像しただけで目の前が真っ暗になった。

一度書いた原稿なら二度目は速いんじゃないか、と言われそうだが、それは違う。

一度書いた原稿を再現するのはほぼ不可能だし、執筆中のノリやモチベーションが全然違うから、リライト原稿はどうしてもクォリティが落ちる。

他の人たちは知らないが、私のように勢いと閃きで書くタイプは、同じ文章はもちろんのこと同じ思考経路も辿れないため、前のとは全然別物になる。

絵描きや工芸品作家も同じでしょ?

一度壊れてしまったら、同じ作品は二度と創れない。



そんなわけで暗澹たる気分に浸された私は、また一からやり直そうという気力が取り戻せなかったのである。

皆さんから投資していただいてるので早く出さなきゃとは思うのだが、どうにもこうにも立ち直れない。

失われた原稿の事を思い出すと頭の中にねっとりと重い真っ黒な霧が広がり、胃がきりきりと痛みだすほどだ。

そんなこんなでグスグズしているうちにまた引っ越しをする羽目になり、録音データの入ったICレコーダーも膨大な段ボール箱のどれに入っているのかわからなくなってしまう始末(まぁ、これは整理整頓能力に著しく欠けた私が全面的に悪い)。

こうして、もはや打つ手なしの状態で今日まで来てしまった。

出資してくださった方々、対談や鼎談をしてくれた方々にはまことに申し訳ない。

あと、カメラマンの富田さんもごめんね。



あれから数年経って「とにかく自分の書く分だけでも何とか再開せねば」と、ようやく奮起できる状態になってきた。

失われた対談や鼎談のデータはICレコーダーが奇跡的に箱から出てくる事を祈るしかないが、自分の書く分なら自力で何とかなりそうだ。

ただ、あれからもう何年も経ってしまったので、以前のネタはもう古い。

昨今の表現規制にまつわるニュースを探して、一から検討していかなくてはなるまい。

当時は少年ジャンプの表紙や某画家の展示作品が物議をかもしていたが、規制派は相変わらずエロティックな表現に目くじら立てているのだろうか?



青少年にエロ本読ませたら性犯罪者が増えるとか本気で思ってる人たちが未だにいるとは笑止千万だ。

かの有名なエド・ゲインは厳格なクリスチャンの母親から「性行為は罪だ」と教え込まれ、そういった類の物から厳重に隔離されて育ったが、成長してシリアルキラーになり、女性の死体から剥いだ皮でランプシェード作ってたぞ(笑)。

同じくシリアルキラーのエド・ケンパーは、彼の性衝動に目を光らせる母親によって思春期に入ると同時に地下室に隔離され、姉との接触すら禁じられたが、まんまと女性を8人殺して屍姦するように大人に成長し、挙句の果てには母親も殺して首を斬り取りその口でフェラさせたらしいぞ。

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