■エルサレムへの米大使館移転・米によるイラン核合意破棄・日立建機株等
最新刊の『習近平の真意:異形の大国を操る』(発行:李白社、発売:徳間書店)が6月12日から全国の大手書店とネット書店で発売になります。風雲急を告げる朝鮮半島情勢をめぐる日・米・中・朝・韓の駆け引きと、広大な国土および巨大な人口を持つ中国を率いる習近平総書記に焦点を当てて、東アジアの政治・経済を詳細に分析しました。ご期待ください。
●パレスチナに対してアラブ諸国は現実的な対応をするしかない
アメリカのトランプ政権は5月14日、イスラエルの建国70周年に合わせて、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転しました。これに抗議し、パレスチナのガザ地区では境界のフェンスに約4万人のパレスチナ人が殺到したため、イスラエルへの侵入を防ぐべくイスラエル軍が実弾を使用したことで、60人以上の死者、2700人以上の負傷者が出たのでした。同時にイスラエル空軍はガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの拠点にも空爆を加えました。
こうした事態を受けてクウェートなどが国連安全保障理事会の開催を要求し、5月15日に安保理で公開の緊急会合が開かれたのですが、アメリカのヘイリー国連大使は犠牲者が拡大したのはハマスに責任があるとしたうえで、大使館移転はアメリカ国民の意思だと主張したのです。
エルサレムの旧市街である東エルサレムにはユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地が集まっており、これまでイスラエルとパレスチナはエルサレムをめぐって争いを繰り返してきました。国連は1947年のパレスチナ分割決議でエルサレムを国際管理下に置くことにしたのですが、1948年に独立したイスラエルは同年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得し、1967年の第3次中東戦争では東エルサレムも占領しました。以来、イスラエルはエルサレムを恒久的首都と宣言してここに政府機能を置いています。パレスチナも東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都と位置付けて活動してきました。