早速ですが、次の空欄を埋めて文章を完成させてください。
・私は____います。
・朝からずっと____います。
・先週から____をクルクルさせていました。
・脳と___。
・もうちょっとで____です。
さて、あなたは空いている穴を、どんな言葉で埋めましたか?
・私は電車に乗っています。
・朝からずっとぼ〜っとしています。
・先週から忙しくて目をクルクルさせていました。
・脳とカラダ。
・もうちょっとで倒れそうです。
・私は悩んでいます。
・朝からずっと考えています。
・先週から転職するかどうかの決断をクルクルさせていました。
・脳と心。
・もうちょっとで決心できそうです。
・私はお腹がすいています。
・朝からずっと働いています。
・先週から部下たちをクルクルさせていました。
・脳と労働。
・もうちょっとで会社です。
これらは私の半径3メートルに、“たまたま”いた知人たちに埋めてもらった結果です。
疲れている人、悩んでいる人、何も考えていない人……、知人たちは三者三様、自分勝手に答えてくれました。
でも、彼らも、今これを読んでいるアナタも、共通してやっていた“コト”があります。
それは「考える――」という行為です。
もっと具体的にいえば、自分の問題として脳と心を駆使して、自由に、自分なりの答えを導きだしました。
実はさきほどの問題は、
「私は原稿を書いています。朝からずっと書いています。先週から脳内をクルクルさせていました。脳と言葉。あとひと息でつながりそうです。」
という私の文章に、穴をあけたものです。
もし、この文章をこのカタチのまま見たら……、アナタはサラッと読み流してしまったのではないでしょうか?
立ち止まることも、文章を読み返すことも、「私」=「自分」と置き換えることもしないままにです。所詮、たわいもない文章です。読み過ごしたところで、さしたる問題はありません。
ところが、文章に穴があいた途端、「なんじゃこりゃ?」と目が止まります。
「朝から」とか「先週から」とか「脳と」とか「もうちょっと」とか、「____」の周りの言葉を手がかりに、あーでもない、こーでもないと脳をクルクルさせ、穴の答えを考える。
これが、「穴あけ勉強法」です。「穴あき」ではありません。「穴あけ」です。
意識的に「穴をあける」ことで勝手に脳が動き出し、たわいもない文章から膨大な知識が育まれ、考える力が身につく方法です。
どこの誰が、考えた勉強法か?
もちろん私です。
なんだ……アンタかい……? アンタが考えたのかい。
はい。そのとおり。ネーミングも、ワタシです。
「へ〜、アンタが考えたのかい」――。
いいフレーズです。
こう言われたら、勝った! と考えて間違いありません。
「もっと考えろ!」だの、「もっと頭を使え!」だの、「考える力」が過剰なまでに要求される世の中です。
多少上から目線のものいいであれ、小馬鹿にした感じであれ、「考えた」と認めてくれた。「へへ」とほくそ笑むだけの価値あるお言葉です。
かつての成功法則が通用しない現代社会では、「考える」という作業こそが、今、そして将来に渡り生き勝つ“ための最高かつ最善の手段”です。
「人間は考える葦である」という名言を残した哲学者のパスカルも、病気や身体の苦痛と戦いながら、思索し実験し、研究し、悩み考え、後世に名を残しました。パスカルになれなくても、考える作業を全うすれば、自分の強みを最大限に生かす生き方ができる。
考える力がある人は、実に強い存在なのです。
では、どうやって考える力を身につければいいのでしょうか?
その方法こそが「穴あけ勉強法」!
「穴をあける」作業の繰り返しで、誰もがトレーニングにより考える力が鍛える。
穴あけ勉強法では、基礎知識の土台(=ルーティン)を作り、知識の応用力(=アメーバ)を身につけ、企画力(=アナロジー)を高めることが可能です。あなたの“自分MAX”のパフォーマンスが発揮できるようになっていくのです。
何を隠そう、この私は「穴をあける」作業の繰り返しで今まで生き延びてきました。
「自分の言葉で伝える仕事がしたい」と若さゆえの勢いでCA(客室乗務員)を辞めたものの、世間の冷たい風にさらされ、さまざまな事に気づかされました。それから20年超。
悪戦苦闘しながらも、とりあえず生き勝ってきました。
もし、「穴をあけて考える」という作業をしなければ、恐らく私は「勘違いしてCAを辞めた、痛い人」になっていたと思います。
「運がいいんだね」
気象予報士第一号となり、『ニュース・ステーション』のキャスター、久米宏さんの隣でお天気を伝えるようになったとき、何度も言われました。
「勉強が好きなんだね」
東京大学大学院に進学したとき、何人もの人に言われました。
「ずいぶん出世したね〜。そのモチベーション、どうやったら持てるの?」
ビジネス雑誌の連載やテレビなどのコメンテーターをやるようになってからも、言われ続けています。
そう言われる度に、私はなんともいえないモヤモヤした気持ちになります。
だって、運や勉強好きだけで生き残れるほど世間は甘くありません。 生きるってことも、稼ぐってことも、めちゃくちゃ大変なこと。「はい、終わり」って突然言われて、いつ仕事がなくなるか分かりません。
それでも自分が手を抜いたり、舐めてかかったり、インチキしないかぎり、波はあってもどうにか食える。いや、そう覚悟決めなきゃ、やっていけない……。そんな覚悟だけは、持てるようになりました。
そのことを教えてくれたのが、穴あけ勉強法です。すべては「穴をあける」ことから始まるのです。
穴あけ勉強法は、「大きな川の流れに身を任す生き方」ではなく、「自分で川の流れを作る生き方」をしたい人のためトレーニング法です。
学び直したい人、自分の強みを見つけたい人、強みを生かした働き方をしたい人、転職・起業などセカンドキャリアを考えている人、就職を控えた大学生、自分らしく生きたい人……、そういった方たちに読んでもらいたくてこの本を書きました。
28歳でCAを辞め、30歳でお天気キャスターになり、40歳手前で大学院へ。まさか空を飛び(CA)、空を予想し(気象予報士)、人の心の空模様を見る(健康社会学者)ようになるなんて、想像したこともありませんでした。
でも、これが「ひたすら穴をあける」ことで作った“私の流れ”です。
本連載では、「穴あけ勉強法」のやり方と、実際にドリル形式でやっていくことで、あなたの____をピカピカにしていきます。
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