【他人をバカにすることで生きる男たち――⑫「大年増の厚化粧」発言の背景にある心理とは?】
(前号から続いています)
SOC=Sense Of Coherence が欠けてる男は「自分の大切なものが脅かされそうな」出来事に遭遇したとき、ときに暴言を吐き、ときに群衆の中で息をひそめ、必死で沽券を守ろうとします。
それって「男」だけ?
いえいえ、「女」も一緒です。
ただ、圧倒的に男性のほうが多い。
なぜなら、これまで日本の企業は男性たちが作ってきたからに他なりません。
高度成長期に「妻」に子育てを任せ、会社に誠心誠意尽くし生きてきた男たちが築き上げたのが「男の楼閣」です。
SOCは「人とその人を取り巻く環境」で育まれる前向きな力です。
つまり、男たちのSOCの形成には「会社のカタチ」が大きく影響してきました。
「前例がない」「組織の論理がわかっていない」―――。
あなたも上司から、こんなフレーズで新企画や提案を却下された経験がありませんか?
年功序列、終身雇用など高度成長期のお父さんには当たり前だった制度が崩壊し、大卒、大企業、管理職といったエリートの証の賞味期限が切れ、会社のカタチが変わろうとしている今。楼閣を脅かす存在に敏感に反応する男たちがたくさんいます。
そもそも人間には変化を嫌う習性があるので、SOCの低い人ほど“新しい風”を排除することに必死です。
とりわけ「女」が風を吹かそうとすると、たちまち男たちは徒党を組んで抵抗する。
だって、“彼女”たちは男たちの暗黙のルールに従おうとしないのです。
男たちがかくしてきた、楼閣内に存在する“エリートが享受できる甘い蜜”を、いとも簡単にバラそうとする。
「自分の保身」だけを考え、権力を組織のためではなく「自分のため」だけにしがみつく“ジジイ”にとっては、たまったもんじゃありません。
そこで彼らは「パンドラの箱」を開けるのを阻止しようと、必死で醜い幼稚な言動を繰り返す。“あのとき”のように、です。
大型連載「他人をバカにすることで生きる男たち」の第12回目は、「女をバカにしないと生きられない?」をお話します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「大年増の厚化粧」発言を、覚えていますか?
ええ、そうです。昨年の東京都知事選で、“アノ”石原慎太郎氏が、小池百合子候補を非難する際に使った言葉です。
当時の状況を振り返ってみましょう。
舛添前都知事の「セコさ」に端を発した都知事選は、自民都連にとっては自分たちが推薦した都知事が2代続けてカネ問題で途中辞職した汚名を何が何でも返上したい、必死の戦いでした。
なんせ猪瀬さんの「これが5千万円を入れたカバンです」と大汗をかきながら、必死でしまらないチャックを閉じようとした“かばん芸”はまるでコントでしたし、舛添さんの「精査、第三者」を性懲りも無く繰り返す姿はダサすぎました。
自民都連の殿方たちは是が非でも、自分たちの“沽券”を守るべく「勝つ」という言葉以外許されなかったのです。
そんな状況下で「崖から飛び降りる覚悟」で出馬したのが、小池さんです。