
■ 1. 近況
今週は、小笠原諸島の父島にいます。
東京から南に1000キロ離れていますが、父島は東京都ですので、島内を走る車は品川ナンバーばかりな実に不思議な光景です。およそ25年ぶりに訪れましたが、島中の道路は舗装され、港を中心とした街はとても綺麗になっていて驚きました。メインストリートには、オシャレなカフェやイタリアン・レストラン、そして多くのツアー会社が立ち並び、かつては、漁師のトラックの荷台に乗せてもらって移動するしかなかった島と同じ場所とは思えません。少しだけ、並行世界「1Q91」を彷徨う気分です。
しかし、いまだに島には空港がなく、東京の竹芝桟橋から24時間かけて船で来るしかありません。かつてはダイバーと偏屈な旅行者しか訪れませんでしたが、2011年のユネスコの世界自然遺産認定以降は上質な観光客も訪れるようになり、さらにこの7月から唯一の定期連絡船「おがさわら丸」も刷新し、かなり快適に渡航できる旅先になりました。
ただ、まるまる1日はかかることには変わりありませんので、結果的にお金と時間がある高齢者が多く目立ち、船室も一等から満室になっていく富裕層のあたらしい国内旅行先になっているようです。島内唯一のホテルも高齢者ばかりで、レストランでは音楽もかからず、独特の静けさが漂います。
さて、この島の美味しい料理として有名なのは、島寿司です。サワラを醤油漬けにして、ワサビではなくカラシを入れて握るのですが、この島ではワザビが取れませんので、代わりに小笠原ならではのカラシを使っていた食文化がいまも残り、物資豊かな現代になっても、島固有の特殊性は食に残るものだと実感します。
そしてなにより…
高城未来研究所【Future Report】
Vol.280
■目次
… 1. 近況
… 2. 世界の俯瞰図
… 3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
… 4. マクロビオティックのはじめかた
… 5. 身体と意識
… 6. Q&Aコーナー
… 7. 連載のお知らせ