内部留保課税・神戸製鋼のデータ改竄の真相・コーセー株とニコン株等

■内部留保課税・神戸製鋼のデータ改竄の真相・コーセー株とニコン株等

このほど『2018長谷川慶太郎の大局を読む』(発行:李白社、発売:徳間書店)が発売されました。3年ぶりの総選挙を行う日本、迷走するトランプ政権のアメリカ、核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、EU離脱に苦しむイギリス、最高指導部メンバーが入れ替わる中国などについて現状の分析と今後の展望を詳述しました。すでにネット書店で入手できるほか、間もなく全国の大手書店にも並びます。ぜひご一読ください。

●400兆円を超える内部留保に課税するという公約に現実味はあるのか?

 希望の党が選挙公約に掲げたことで「企業の内部留保への課税」が急に政治的課題として浮上してきました。内部留保(会計上の利益余剰金)とは税金を納めて配当を支払った後に企業に残る資金のことです。財務省が9月1日に発表した4~6月の法人企業統計調査によると、金融・保険業を除く全産業の2016年度の内部留保は、前年度よりも7.5%増えて過去最高の406兆2348億円を記録しました。しかもこれは10年前の約1.7倍です。

 つまり希望の党は、「日本企業に400兆円を超える巨額の内部留保があるのにもかかわらず、それに課税しないのはおかしい」という一種の庶民感覚で内部留保課税を公約にしたのでした。しかしこれは内部留保の実体を無視する間違った発想です。

 まず、内部留保は全額が現預金なのではありません。現在の406兆円余りの内部留保も半分は設備投資や内外の企業買収などを行って形成された資産なのです。残りの200兆円余りは現預金なのですが、これも多くは企業の運転資金に充てられています。逆にいうと、運転資金だからこそ流動性の高い現預金で持っておく必要があるのです。

 それに、法人税を支払った後の資金である内部留保にさらに課税すると二重課税となります。この点で内部留保課税は税の原則を逸脱しているのです。一方、企業にとっては内部留保課税は法人税率の引き上げと同じことになります。

記事の新規購入は2023/03をもって終了しました