イギリスから来たレディは、やりすぎのリベラリスト 留学で出会ったクラスメイトたち 『ハーバード留学記Vol.12』 山口真由

テキサスで見つけた「日本庭園」という名のイングリッシュ・ガーデン風苔むした庭

 留学で出会ったクラスメイトたちについての連続エッセイは、とりあえずは、ここで終わりにしようと思う。最後を飾るのはレイチェル・アリス。彼女はイギリスから来たオックスフォード出身の26歳だった。彼女は私たちがイメージするイギリスのインテリにぴったり当てはまる。まず、紅茶が好きなイギリス人。さらに、超がつくほどのリベラリスト、弱者は保護して教え諭さなくてはならぬという啓蒙主義の持ち主だった。なお、この弱者の中には、なんと動物まで含まれてしまう。

1. これがイギリス人ってイメージにぴったりのレイチェル

 レイチェルとはじめて会ったのは、ハーバードのオリエンテーションの最中に、ハーバードの学内を探索するツアーに参加した時である。赤毛に緑の印象的な瞳、鼻の頭から頬にかけてそばかすをちりばめた女性が、「ツアーに参加したいんだけど、集合場所はどこだかわかる?」と私に尋ねてきた。道に迷っているにもかかわらず、ずいぶん堂々としているんだなと思ったのがはじめの印象である。 

 私の知っている数少ないイギリス人をもって、イギリスの国民性を諮ることは不可能だけれど、レイチェルは私のイメージするイギリス人にぴったりだった。

 ひとつめ:レイチェルは個人主義である。社交的では全くない。クラス全員が参加するイベントにはめったに顔を出さず、気の合う少人数でバーで飲むことを好む。決して騒がない、いつも落ち着いている、ある意味、超然としている。26歳というレイチェルの年齢を聞いた時には、私は心底驚いた。私よりもずっと貫禄があったからだ。

 イギリスから留学してきたクラスメイトは5人だった思う。最年少のトビンは23歳、クラスの中でも最も若かった。しかしながら、彼らは一様にマチュアであった。クラスの中には「みんなと友達になる」ことを目標として、毎日違った人とランチに行く人もいた。だが、イギリスからの留学生は決してそんなことはしない。みんなと浅く付き合うよりも、気の合った仲間と深く付き合うことを好んだ。偶然、そういう性格の人達が集まったのか、イギリスの紳士・淑女の習性なのだろうか。

 ふたつめ:レイチェルは気にしない。レイチェルの話す、ブリティッシュ・アクセントの早口を、私は全く理解できなかった。レイチェルも私が何を言っているのか全く分かってなかったと思う。それでもレイチェルは全く気にしなかった。だから私は楽ちんだった。英語で通じ合えないことよりも、それで相手をイライラさせているのではないかという不安が私を落ち着かなくさせていたのだろう。

 お互い共通点はなくても、お互いリラックスできるから、私たちは一緒に過ごすことが多かった。クラスが終わるとカフェで一緒に明日のリーディングをし、朝早く起きられた日は一緒にジムに行った。

 みっつめ:レイチェルは自我を通す。レイチェルは旦那さんを連れて留学してきた…

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