保護貿易主義に傾倒するトランプ政権・ネット関連株とソフトバンク株

■保護貿易主義に傾倒するトランプ政権・ネット関連株とソフトバンク株

 トランプ大統領が誕生した直後、「長谷川慶太郎の大局を読む緊急版」の『大転換』(発行:李白社、発売:徳間書店)が発売されました。『大転換』では大型減税、インフラ投資、金融規制改革、エネルギー規制改革などその経済・財政政策であるトランプノミクスの中身を広く深く解説しています。また、トランプ政権の国際政治および国際経済に与える影響についても詳述しました。全国の大手書店に置かれていますので、ぜひご一読下さい。

●政権が発足してすぐにTPP離脱の大統領令に署名したトランプ大統領

 1月20日にドナルド・トランプ氏がアメリカ第45代大統領に就任しました。この日、大統領就任演説で何が話されるのか、世界中の注目が集まったのですが、約18分間の演説の内容は選挙演説とまったく代わり映えせず、しかも抽象論ばかりでした。例えば「今日からアメリカ第一主義を実施する。貿易だろうが、税、移民、外交だろうが、あらゆる決定はアメリカの労働者と家族に恩恵をもたらすために行われる」と力説したものの、そのためにどんなことをどのような形で実施するのかという新しい具体的な提案はなかったのです。逆説的にいえば、トランプ路線の限界を明示したという意味で興味深い就任演説ではありました。

 トランプ大統領は就任演説後、オバマケア(医療保険制度改革法)の見直しに関する大統領令に署名し、ホワイトハウスのホームページ上で

①アメリカ第一のエネルギー計画(自国資源をフル活用し海外資源への依存度を低下させる)、

②アメリカ第一の外交政策(アメリカの国益と安全を最優先する)、

③雇用と成長の回復(今後10年間で2500万人の雇用創出と年4%の経済成長を図る)、

④強い軍を取り戻す(米軍の再編・強化)、

⑤コミュニティの安全確保(犯罪歴のある不法移民の強制送還、メキシコ国境での壁の建設)、

⑥アメリカの国民と企業に不利とならない通商交渉(TPP:環太平洋経済連携協定からの離脱、NAFTA:北米自由貿易協定の再交渉)

という6項目の政策方針を公表しました。ただし、ここには選挙戦中から主張していた1兆ドルのインフラ投資案も、35%から15%への法人税率引き下げ案も掲げられていません。

 以上のうち最も大きな問題なのがTPPからの離脱です。

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