健康な生活を送るのであれば、症状が悪化してからの治療を考えるよりも日頃から「予防」が大事。同じように、健全な会社経営を行なうのであれば、危機が起きてからの対処を考えるよりも日頃からの「予防」が大事だと言えるのではないでしょうか?
ビジネスマンの皆さんにご自身の健康管理の参考にして頂くのはもちろん、経営やプロジェクトにおけるトラブルの「予防」の大切さに置き換えて読んで頂きたく、特に「予防」が大事な脳神経外科の分野から執筆者をお招きし、「予防論」を連載頂きました。
「予防論」を書いて下さったのは、市内だけではなく東京や九州からも患者さんがやってくるという三重県伊勢市の「いせ山川クリニック」院長・山川伸隆先生。数多くの脳神経手術に携わってきた経験から、脳卒中や認知症に至る前の「予防」の大切さを広く伝えるため、自ら「脳卒中・認知症公開市民講座」をプロデュースされ、毎回数百人を動員するほどの人気講座となっています。
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▼ 山川 伸隆 (やまかわのぶたか)
脳神経外科医。三重県伊勢市出身。三重大学医学部附属病院、桑名市民病院勤務後、大津市民病院脳・神経外科副医長、市立伊勢総合病院脳神経外科医長を経て、平成19年に伊勢市小木町にて「いせ山川クリニック」を開業。脳卒中、頭痛、認知症サポートなど幅広い治療・指導を行なっている。自身で企画する伊勢地区「脳卒中・認知症市民公開講座」は、毎回数百人を動員する人気講座となっている。
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『ビジネス発想源 Special』の「各界発想源」にて2012年1月に連載され大きな好評を頂いた『脳神経外科医・山川信隆の「予防論」』全5回を、mineに再掲載することになりました。この連載から、ビジネスマンの皆さんの経営や企画における危機管理、またご自身の健康管理などに活かせるヒントを見つけ出して頂ければ幸いです。
※[加筆] 連載当時の、読者の皆さんの質問に山川信隆先生がお答えする「Q&A」も掲載致しました!
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●脳神経外科医・山川伸隆の「予防論」
〜人の健康も「予防」から、会社の健全も「予防」から〜(全5回)
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【第4回】 「予防」と「コミュニケーション」を考える。
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いせ山川クリニック 山川です。
今回は、「認知症」についてのお話です。
私が当院で行なう患者さんとのやりとりは、伊勢弁です。関西の方には普通に理解して頂けると思いますが、関東の方には、やや違和感があるかもしれません。
さて、「認知症」という言葉、皆さんはどういう印象をお持ちでしょうか?
「もう治らない」「人生の終わり」「物忘れ」「徘徊」…
色々あると思いますが、認知症の正しい理解はあまり進んでいないと思っています。
認知症とは、
「一度正常に達した認知機能が、後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会背活に支障をきたすようになった状態を言い、それが意識障害のない時に見られる」
と定義されています。
確かに、進行性で根本治療のない場合が多いのですが、中には(薬や手術などで)治療可能な認知症もあり、それを見逃しては大変なことになるということをいつも講演で話しています。
また、最近の研究では、……