「中学受験のイロハ」5年生の夏休みにやるべきこと

スクールFCの松島です。いよいよ受験生にとっては大切な夏休みが始まります。ひたすら家と塾との往復、塾の授業と宿題をやることで一日はあっという間に過ぎていきます。これまで受験生としての自覚が感じられなかった子どもたちの中からも、周りの雰囲気に刺激を受けて意識が変わり始める子も出てきます。「もっと早くからやる気になってくれていたら」と思いたくもなるのですが、夏休みからならまだいいほうで、11月ごろの志望校判定テストで散々な結果になってやっと本気になる子もいます。親の思い通りにはいかないのが中学受験の難しさです。

今回はその一年前にあたる5年生の夏休みの過ごし方についてお伝えしたいと思います。

5年生の1学期から学習内容も難しくなり、最初は宿題が終わらずに苦労したご家庭も多かったと思います。それでも最近は勉強のペースがつかめてきて、親も少しほっとしているところかもしれません。しかし、塾の宿題ができているからと言って、その内容がしっかりと定着しているとは限りません。2学期は入試に出る重要単元ばかりでさらに難易度も上がりますから、この夏休みで1学期の内容を万全にしておくために、夏期講習は休まず参加したほうがいいでしょう

さて、夏休み中はややもすると朝寝坊をして、塾が始まる時間の直前から動き出すようなこともあり得ます。もちろん、講習が朝9時からなら心配はいりませんが、もっと遅い時間から始まる場合でも、学校に行くときと同じ時間に起きるようにすべきです。私の塾を例にすると、12時45分から6時35分までが授業でそのあとも居残り学習や自主学習があり、最後まで勉強している子どもは、帰宅が夜の8時、9時になります。宿題も毎日出ますから、家で学習できる時間は、翌日の午前中しかありません。夜10時くらいには寝て翌朝6時起床。漢字、計算をやって朝ごはんを食べてから、午前中2時間くらいを宿題にあてるような形が理想です。6年生との違いは期間が少し短いだけで、一日のスケジュールはそれほど変わりません。学校に通っているときと同じように午前中に勉強することで、生活のリズムを崩さないことが大切です。

夏休み中にやっておきたいことを二つ挙げます。

一つ目は小数と分数の計算力を盤石にすることです。

通常は5年生の1学期で小数・分数の四則計算を習い終えます。しかしまだまだ正確さやスピード面では十分とは言えないと思います。計算のやり方が定着していない子もたまに見かけます。その状態では、2学期の山場である比や速さ、割合の単元で、問題の理解の前に計算でつまずいてしまいます。ここでのつまずきは6年生になっても尾を引きますから、何を置いても夏休み中に小数・分数の計算力を上げておかなければなりません。

夏期講習で計算の確認テストがある塾なら、毎回満点を取るつもりで計算練習に力を入れましょう。そうしたテキストやテストがない場合は、1学期の計算テキストを5回くらい復習するつもりで計画を立てて取り組みましょう。家でやるときに大切なことはダラダラやらないことです。目標時間を決めてストップウオッチでタイムを計りながら練習をしてください。

二つ目は社会です。たいていの塾では5年生の1学期は地理を学習しますが、2学期以降は歴史、公民となっていくことから、地理をまとめて学習できる機会がしばらくはありません。しかし、2学期にある模試の出題範囲はかなりの部分を地理が占めますから、この夏休みでいったん仕上げるつもりで学習しておく必要があります。覚えたことはいずれ忘れるにしても、しっかり一度インプットしきっておくのと、中途半端で終わらせておくのとでは、次に復習をかけたときの定着度に違いが出てきます。夏期講習のテキストとして理科・社会の基本知識をまとめたものがあれば、それを完璧にするつもりで取り組みましょう。ただ弱点単元が明らかな場合は、1学期のテキストを使ってやり直したほうがいい場合もあります。意味もわからず断片的に暗記をしようとしても頭にはなかなか入りませんし、すぐに忘れます。「なぜその地方は温暖で果物の産地なのか」など、因果関係などを含めた体系的な知識の積み上げが社会には不可欠ですから、その点ではまとめ用の講習テキストよりも通常のテキストのほうが向いています。

夏休みは通常の2、3ヶ月分の学習時間を確保できる大きなチャンスです。規則正しい生活を維持して、2学期に向けてしっかりと準備をしておきましょう。

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