トランプ大統領のアジア歴訪・デフレ時代の金融業界・パナソニック株等

■トランプ大統領のアジア歴訪・デフレ時代の金融業界・パナソニック株等

 増刷となった『2018長谷川慶太郎の大局を読む』(発行:李白社、発売:徳間書店)が全国の書店で大好評発売中です。米朝戦争、総選挙後の日本、毛沢東を目指す習近平独裁政権、分裂の危機と銀行倒産に怯えるヨーロッパ、絶好調のアメリカ経済を俎上に載せて分析・解説しました。ぜひご一読ください。

●日本の経済人を前にしての「自由で互恵的な貿易を望む」という発言

 トランプ大統領は11月5日から14日まで10日間の日程で日本(5~7日)を皮切りに韓国(7~8日)、中国(8~10日)、ベトナム(10~12日)、フィリピン(12~14日)のアジア5ヵ国を歴訪しています。すでにトランプ大統領は日本で安倍晋三首相と、韓国で文在寅大統領と、中国で習近平総書記とそれぞれ首脳会談を行いました。以後、ベトナムではAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に出席し、フィリピンではASEAN(東南アジア諸国連合)の首脳会議に出席するとともにドゥテルテ大統領との首脳会談も行います。

 この10日間という長期の外遊をトランプ大統領が試みることができるのはそれだけ世界の情勢が安定してきたということです。同時にこれは、世界のホットスポットである東アジアがどのような状況にあるのかをトランプ大統領が自分の目と耳と足で確かめられる機会となりました。とすれば今後、トランプ大統領はイデオロギーではなく実際に現場に足を運んだ体験に基いて行動するに違いありません。その意味でトランプ大統領はリアリストに転向したのです。

 トランプ大統領は11月6日午前、駐日アメリカ大使館に日本の経済人を招いて次のように演説しました。「私たちが望むのは公平で開かれた貿易です。しかし現在、わが国と日本の貿易は公平でも開かれたものでもありません。でもすぐにそうなるでしょう。私たちが望むのは自由で互恵的な貿易です。わが国と日本の貿易は自由でも互恵的でもありません。でもこれもすぐにそうなるでしょう。私たちはすでに一連の作業を開始し、これを長期にわたって続けてきました。両国にとって公平な貿易協定、貿易構想をつくり上げることができます」

 これは一見、日本との貿易不均衡を問題にしただけの発言に思われますが、トランプ大統領は、理性に欠ける不合理な方策で日本がアメリカの貿易赤字を増やしたのではないし、この貿易不均衡にはアメリカの経済界にも大きな責任がある、ということを知っています。そのうえで「自由で互恵的な貿易」を望むのは、保護主義ではなく自由貿易を重視しているということです。

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