コントラリアンかトレンドフォローか/田渕直也のトレードの科学 Vol.009



勝ち目のある勝負に集中する

さて前回は、フィードバック・ループがしばらく続く傾向があることから、断定的な予測は不可能でも、50%以上の確度で予測が出来る余地が生まれることをお話ししました。

もし60%の確度で予測が可能だった場合、一回の勝負で勝てる確率はもちろん60%です。これを続けていくと、5回勝負してそのうち3回以上勝てる確率は68.3%となり、11回中6回以上の勝ちは75.3%、21回中11回以上の勝ちは82.6%となります。回数を重ねていくにつれ、勝ち越すことが出来る確率がどんどん上がっていくわけですね。そして、101回の勝負で勝ち越す(51勝以上)の確率は97.9%に達します。

予測の精度が55%でも、長期的には明確な効果が現れます。その場合、101回の勝負で勝ち越す確率は84.9%です。(本当に大切なのは勝率ではなく、期待リターンをプラスにすることです。ここでは、話を簡単にするために勝率をベースにして簡略化して議論していることにご留意ください。)

もちろん予測の精度60%を実現することはたやすいことではありませんが、ここで大切なのは、「予測を必ず当てるようにしなければ儲けられない」という風には考える必要がないということです。

さらにいえば、この60%(もしくは55%)というのは、相場のすべてについて60%の精度で予測するということではありません。相場の大半はランダムな動き(またはそれに近い動き)なのですから、そうではない部分に目を向けて、全体ではなくその部分についてだけ予測精度を高められればいいのです。

つまり、何でもかんでも予測を当てることが必要なのではなく、多少なりとも精度の高い予測が可能な部分を見出すことの方がはるかに重要だということになります。

相場変動の大半がランダムかそれに近い動きをしていて、そうではない部分はわずかだという今までの話からすると、相場変動のすべてについての予測精度は、どんなに優れたトレーダーや投資家でも50%に毛が生えた程度、要するに誤差の範囲内としか言えない程度にしかならないはずです。プロフェッショナルの成績が総じてランダムに散らばっているのは、そのことを示唆しているように思えます。

その一方で、偶然だけでは説明できないような長期的に安定した成績を残す投資家も、間違いなく存在しています。

彼らは、「相場のすべてを予測」しているのではなく、「相場のうち予測できる部分を探し当て、多少なりとも勝ち目の高い勝負を繰り返すことに集中している」というのが、私の考えです。

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