
お金があれば働かないの誤解
私は講演をする機会があるのですが、そのような場面で時々聞かれるのが「お金があるのにどうして働くんですか?」という質問です。
また、私はこうしてコラムを書く仕事をしているのですが、時々「本当に儲かっているならコラムや本を書いたりなんてしないはず。結局儲かっていないんだ。」という批判めいた指摘を受けることがあります。
私の妻も、「旦那さんが稼いでいるのに、なぜそんなにバリバリ仕事をするんですか?」と聞かれることがあるそうです。
さらには、子育て環境を求めて都心から電車で約20分にある新興住宅地に引っ越したのですが、妻がママ友から「そんな人がなぜこんなところに住んでいるの?」と言われたそうです。
ここに、一般の人が抱く大いなる誤解があるように感じます。
私は自分が特別にお金を持っているとか儲かっているという意識はありませんが、「働くのをやめたい」などと思ったことは一度もありません。
それはなぜかというと、やりたいこと、楽しいと思えることだけをしているからです。自分が好きなことをやってお金までいただけるなんて、こんな素晴らしいことはありません。言い換えれば、生活費を稼ぐために働いているのではなく、趣味の延長として仕事をしているような感覚です。
「たくさんお金を持っている人は働いたりなんてしないはずだ」と考えている人は、おそらく仕事が楽しくないのでしょう。働くことはつらくしんどいことなのだと思います。
でも生活のためには働かなきゃいけない。たくさんお金があったら、会社なんて今すぐにでも辞めたい。
そういう発想が根底にあるために、お金を持っている人たちがなぜ働くのかが理解できない。
そして、もしそういう発想だとしたら、たとえば日本有数の資産家である孫正義氏や柳井正氏がなぜ働き続けるのかも理解できないでしょう。
彼らもまた、生活のためにやむを得ず働いているわけではありません。人が働く理由はそれぞれ異なりますが、億万長者になってなお働く理由はおそらく次のようなものだと推測します。