子どもの金銭教育
・「買い物はすべて親が支払う」をやめる
お金を稼ぐ能力を高めるには、同時にお金を使う能力を高める必要があります。
なぜなら「稼ぐ」と「使う」は車の両輪のようなもので、お金を賢く使えるということは物事の本質を追求しようとする姿勢の現れであり、それは社会のニーズや問題の本質を的確にとらえて収益機会に変える能力の裏返しでもあるからです。
それに、自分で買い物をすれば、釣銭の計算だけでなく、商品の相場感覚や値段の変化なども肌で知ることができます。
もちろん芸術家肌の人などは大金を稼げる一方、社会生活ではまったくの世間知らずという成功者もいないわけではありませんが、適切な経済感覚は稼ぐ力の土台となります。
だから子が欲しいというものを持ってきたら親が代わりに支払うのではなく、なるべく子どもにお金を渡してお使いに行かせ、自分でお金を支払う経験をさせることです。
子どもにお使いをさせれば、お金の計算もできるようになります。それができれば、仮に算数のテストの成績が悪くても社会生活では影響ないでしょう。むしろ算数は得意なのにお金の計算はさっぱりという人の方が多いくらいですから。
そこでたとえば300円を渡し、この範囲の中で買っていいと任せてみる。そして足りなくてレジで断られショックを受けるという経験をするかもしません。でもそうやって学んでいくのです。
私も以前、コンビニに勤めていたときに消費税が導入されたのですが、小さな子どもが100円玉を握りしめてアイスクリームを持ってきたことがあります。
当時は税込み表記ではなかったため、100円のアイスをレジでピッとすると103円でお金が足りない。「ゴメンね、あと3円足りないね。」と伝えると、その子は「100円て書いているのに、どうして100円じゃ買えないの?」と聞いてきて、返答に困ったものです。
・家族旅行のツアコンをさせてみよう
同じ理由で、子どもが「ウチもどこか旅行に行こうよう」と言い出す年齢になったら、子どもにツアーコンダクターをさせてみてはいかがでしょうか。
たとえば予算と日程だけ与え、その中で子どもたち自身が楽しめる旅程を自分らで組ませ、親は子のリードに従っておのぼりさんになるのです。
限られた予算と日程の中、どこに遊びに行くか、どこをどういうルートで回れば効率が良いか、どこで食事をとるかなど、子どもにとってこれはひとつの大きなプロジェクト。自ら計画を立て、その計画通りに遂行する実行力が養われます。
また、旅にはアクシデントがつきもので、乗り場を間違えた、列車や飛行機の遅延、レストランが満席で入れない、途中で道に迷った、ということも起こりえます。
そういうトラブルさえも、親はわざと知らんぷりして子どもたち自身で解決させれば、目の前の出来事に動じない胆力、臨機応変な対応力、問題解決能力を養う訓練にもなるでしょう。