子どもの金銭教育
・「アルバイトはダメ」をやめる
自分の子どもが高校生になり、もし学校で禁止されていなければ、私は一度でもいいのでアルバイトを経験させたほうが良いと考えています。
あるいは大学生になったとき、学費やアパート代は親が出したとしても、生活費くらいは自分でバイトして稼がせたい。
もちろん、「学生は勉強が本分だ」という考えの人もいると思いますし、そういう方針を否定はしません。
学業成績が優秀だったため、大学院や海外の大学に進学でき、将来の選択肢が広がったという人もいるでしょう。
しかし私の周りで起業家として大成している人の多くは、早くからアルバイト経験があります。
私自身、高校生の頃には学校に内緒でバイトしましたし、大学進学に反対していた父の「大学に行きたければ親からの経済援助はない」という条件だったため、奨学金とアルバイトだけで卒業しました。
アルバイトを経験することによる効能のひとつは、社会に出て働いて稼ぐということの実感を早くから持てることと、「時給アルバイトの限界」を思い知ることができることです。
前者はどういうことか。
その例として、ある地方の小学校で、児童自ら自分たちが育てた野菜を地域で販売しているという話を聞いたことがあります。
・「働く」とは社会の中での責任を感じること
学校の畑で育てた作物を収穫し、村に出てリアカーを引きながら「買ってください」と声をからし、おばちゃんたちの値引き攻勢にも対応し、なんとか売り切る努力をする。
自分たちで作った商品を自分たちで売り、自分たちでお金を稼ぐという体験は、親のありがたみ、お金を稼ぐことの苦労を垣間見ることできます。
その経験から、駄々をこねなくなったとか、積極的に親の手伝いをするようになったとか、商売の面白さに目覚めて商業高校に進学したいと言い出す子どもまで出るようになったそうです。
ほかにも、フランスのある農村では観光業がさかんで、地域の子どもも積極的に仕事に従事しているという話を聞きました。
たとえば地元のレストランでは、10歳くらいの男の子がボーイ姿で「本日のこのテーブルは、私の受け持ちでございます。何なりと私にお申し付けください」とテキパキとサービスをしていたという。
小さな子どもであっても、自分は責任を持ってこの仕事を受け持っているという、自己の存在意義を感じ取ることができるという証明でしょう。