「知らしむべからず」から「ダダ漏れ」へ 武田邦彦集中講座『変わりそうな日本社会(9)』

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◆EEZへのミサイル落下を事前に知っていた日本。なぜ警報を発令しないのか?

北朝鮮が深夜にミサイルを撃った2017年7月29日の2日前、韓国大統領は北朝鮮がミサイルを撃つ態勢に入ったことを知っていました。このことは韓国大統領が正式なコメントをしていますので、確実です。

そうなると日本、アメリカ、韓国は同盟国であり、日本はアメリカと集団的自衛権の範囲にありますから、当然、日本が情報を把握していなくてもアメリカから連絡が来るでしょう。つまり、日本の首相、防衛大臣、官房長官の3人の政治家と、自衛隊のトップの司令官は7月27日前後には近日中に北朝鮮からミサイルが発射され、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下することを知っていたに相違ありません。

しかし、それは発表されませんでした。そして事後にNHKなどが北海道の西方海上に落下するミサイルの映像を捕らえているところをみると、NHKも知っていた可能性があります。

現実に、ミサイルが空から降ってきて、イカつり船に落下したら多くの犠牲者を出すところでした。事実、東シャコタン漁協はミサイルのあと、政府に厳重に抗議をしています。また、敵国からのミサイルの攻撃の時には日本政府は情報をキャッチしたら直ちに空襲警報を発することになっていて、そのシステムに膨大な税金(国民からの)を費やしています。

でも、すべては実施されず、国民は「よらしむべし」の状態にあったのです。

政府は国民の命を守る義務があり、自衛隊はミサイルを撃墜する任務があり、地方自治体は空襲警報を流すようになっており、さらにはメディアは情報を時々刻々と国民に知らせるために多くの特権を持っています。でも、まったく事前には動きませんでした。

それでは、「ミサイルが7月18日の深夜か29日の未明に打ち上げられ、日本の領域(EEZは漁民の仕事場で農民の畑に相当する)に落下する」という国民が命を守るために必要な情報をなぜ流せなかったのでしょうか?

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