「来たれ!副業新時代!」
~働き方改革の表と裏~
こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。
先日、ある著者仲間による懇親会に参加した時のことです。そこで、知り合いの著者からこんな話を聞きました。それは、別々に起業している2名のライターの話でした。
1人目のライターはとても優秀な人で、何と月に500本もの依頼を受ける人気ライターです。月に500本ということは、土日も関係なく働いたとしても、1日平均16~17本もの文章を書いていることになります。得意分野は歯科治療、ダイエット、腰痛対策、芸能、時事ネタなどで、それ以外に自身も芸能系のブログを運営し、月間平均35000PVを誇る人気ぶりです。
一方、2人目のライターは、1日に平均して書くのはせいぜい2、3本で、書ける分野もビジネス系だけでした。ライターは書かないとお金にならないため、将来に不安を感じたこのライターは、何とか速く書けるようになろうと、さまざまなセミナーに通い、時間管理術や効率化について勉強しましたが、結局、そうしたことを実行しても、書くのはあまり速くはなりませんでした。
そこで、2人目のライターは速く書こうとするのをやめ、今いる数少ない顧客のご要望に応えることだけに特化することにしました。顧客の望みは読者を満足させることでしたので、ライターは1本書くのに、時には8~10時間をかけました。もっと早く書きたいのは山々でしたが、自分が「これなら」と思えるまで書いていると、それくらい時間がかかってしまうのでした。
それを続けているうちに、そのライターは、顧客から思わぬことを提案されました。それは「もっとあなたに書いてもらいたいから、記事中で使う一般論的な部分は他のライターに書いてもらったらどうか?」というものでした。確かに、ニュース記事などは誰が書いても基本は同じなので、ライターも「誰か書いてくれないかな」と思っていたところでした。
ライターは顧客の勧めに従い、一般論の部分を書いてくれるライターを募集してみました。すると、1本の募集広告に対して応募が殺到しましたが、その中には、何とあの「月間500本書く」というライターも混じっていました。
応募内容を比較検討した結果、結局、月に500本書くライターは選から漏れてしまいました。顧客に支持されていたライターは、「将来的に自分の代わりに書いてくれる人」を求めたために、手早くキレイにまとめるだけの能力
は、評価の対象とはなりませんでした。
もし、これがあなたの身に起こったできごとだとしたら、あなたはどちらのライターになりたいと思いますか?
【Vol.40『副業新時代』目次】
〔1〕イントロ: 起業とは「自らの時間を失うこと」なのか?
〔2〕本文:「来たれ!副業新時代!」~働き方改革の表と裏~
1、働き方改革とは何か?
◎「働き方改革」の現状
◎「長時間労働反対」のはずの政府が残業を認める方針
2、制度には必ず「表と裏」がある
◎「残業は減る」世の中になるかもしれないが
◎ものごとにはA面とB面がある
3、将来につながる副業の始め方
◎「自分の価値を上げる」ために副業を行う
◎独立へのプロセスとしての「副業」
4、サラリーマンと両立しやすい仕事で儲けることは可能か?
◎どの仕事を「自分の副業」にするべきなのか?
◎安易な儲け話に潜む「落とし穴」
5、副業を「軌道に乗せる」方法
◎独立する際の「3つのパターン」
◎ビジネスを成長させるにはマネジメントが必要
6、実録!独立への道
◎事例1:「キライな仕事で独立」
◎事例2:「事務」で独立したパターン
◎どうやって仕事を取ればいいのか?
7、まずは自己分析から始めよ
★本日のワンポイントアドバイス☆★
「0から1へと踏み出す副業」のための5ステップ
〔3〕次回予告(予定):「毎月の収支バランスってどうしたらいいの?」
~マネーレコーディングは投資への第一歩~
〔4〕ニュースのビジネス的着眼点:
1、「豊洲は続くよ、どこまでも」・・・
2、日本におけるビットコイン犯罪時代の幕開け?!
〔5〕編集後記:「生まれ変わった道の駅」の取り組み
◆〔1〕イントロ:
起業とは「自らの時間を失うこと」なのか?
現在、ほとんどの人が仕事人生の最初の一歩を、サラリーマンから始めているのではないかと思います。そのサラリーマンにとって、独立起業はひとつの大きな夢と言えるでしょう。しかし本当に大切なのは、それを通じて「あなたが望む人生を送れるようになるかどうか」ということです。一体どうしたら、それを叶えることができるのでしょうか?
ある事例をお話しましょう。お金についての原理原則を説く著書として名高い『金持ち父さん貧乏父さん』。初版本は今から20年近くも前に書かれたものながら、世界59カ国語に翻訳され、いまだに売れ続けている大ベストセラーです。
その本の著者であるロバート・キヨサキ氏には、2人の父親がいました。1人目は自分の実の父親(貧乏父さん)。キヨサキ氏のお父さんは高い教育を受け、ハワイ州の教育局長にまでなった人でしたが、曲がったことがキライな性分で、勝ち目のない選挙に出馬して落選、職を追われた後は不慣れなビジネスで失敗を繰り返し、失意のうちに亡くなりました。
もうひとりの父親は、キヨサキ氏の親友・マイクの父親(金持ち父さん)。マイクのお父さんはハイスクールすらでていない人でしたが、人を扱うことに長け、後にハワイでもっとも裕福なひとりになりました。キヨサキ氏たちは、金持ち父さんからお金やビジネスに関する手ほどきを受け、それを実行して成功しました。
キヨサキ氏の著書『金持ち父さんの起業する前に読む本』の中に、このような話が出てきます。キヨサキ氏の知り合いの中に、ホノルルの大銀行で働く高給取りの友人がいました。友人は銀行の貸し付け係をしていたので、顧客の中で一番の金持ちは起業家だということに気づいていました。
そこで友人は銀行を退職して起業し、母親と一緒にレストランを始めました。2人は毎朝4時に起きて開店の準備をし、ボリューム満点の美味しい料理を提供するために経費も節減、身を粉にして働きました。友人はキヨサキ氏に「いつかきっと自分たちの仕事を肩代わりしてくれる人を雇うつもりだ」と話していましたが、ついにその日がやってくることはありませんでした。数年後、母親が亡くなると友人は店を閉め、とあるファーストフード店の雇われ店長に落ち着きます。
キヨサキ氏がその後、友人に会った時、友人はこう言いました。「今の仕事は給料はそんなに良くないが、少なくとも時間に関しては、自分の店をやっていた時よりはマシになった」と。