『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』出版記念号(1) 俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.86

『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』出版記念号(1)

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

今、世間の目がコインチェックの仮想通貨流出事件に集まっています。「コインチェックが、数日中に今後の返金計画について発表する」「コインを盗んだハッカーが、コインを少額に分けて送信し、追跡を逃れようとしている」etc・・・しばらくは、この話題で持ちきりになりそうです。

今回のハッキングの対象となったネム(NEM)という仮想通貨は、2015年3月に公開された仮想通貨で、「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称です。「金銭的な自由」「分散」「平等」といった、新しい経済圏の創出を目指して始められたプロジェクトだということです。NEM財団のCEOに日本企業の代表が就任するなど、日本人にも人気の高い仮想通貨です。

大の売りは「ブロックの生成が約1分」という、その速い処理速度にあります。また消費電力の低いPOI(Proof-of-importance)という仕組みやEigen Trust++というアルゴリズムを採用し、高いセキュリティを謳っていました。しかし、これがかえって仇となったようです。コインチェックがネムをオフライン保管していなかった理由として、「技術的に難しかったから」だと述べています。



【Vol.86『仮想通貨書籍出版記念(1)』目次】

〔1〕イントロ:

「仮想通貨」は日本を目指す?!

〔2〕本文:

『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』出版記念号(1)

〜2018年は仮想通貨にとってどんな意味があるのか?〜

1、電子通貨の登場

 ◎電子に価値を持たせる方法

 ◎長年の懸案事項だった「電子通貨の実現」

2、仮想通貨をめぐる国家の動き

 ◎仮想通貨は、なぜ値上がりしているのか?

 ◎仮想通貨の未来と税金をめぐる問題

3、考えられる「2018年に仮想通貨業界に起こると予測される動き」

〔3〕次回予告(予定):『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』出版記念号(2)〜2018年は仮想通貨にとってどんな意味があるのか?〜

〔4〕ニュースのビジネス的着眼点:これは結局のところ、徳?損?

〔5〕編集後記:「300万円の広告スペース」ってどれくらいの大きさ?

〔6〕今後の特集スケジュール:2018年2月予定



◆〔1〕イントロ:

「仮想通貨」は日本を目指す?!

現在、ネムのような新しい仮想通貨を取り扱うところが少ない理由は、「まだよくわからず、扱えばリスクが高くなる」からだと思われます。ですから、世界に数千あると言われる仮想通貨ですが、日本の仮想通貨取引所が取り扱う通貨はビットコインがダントツで、後はイーサリアム、リップルなど少数に限られます。コインチェックはその中にあって、国内では13種類と比較的多くの通貨を取り扱ってきました。

取引所のオフライン保管(コールドウォレット)を利用すると、オンライン保管に比べてセキュリティが向上します。しかし、この方法だと通貨の入出金が自動でなくなり、「利便性が落ちる」というデメリットがあります。コインチェックはユーザーの使い勝手を重視しており、秘密鍵の分散管理も行っていませんでした。

新しい市場では進化と拡大が同時期に進むため、事故が起きるのは、ある程度はやむを得ない面があるでしょう。とはいえ、コインチェックはその経営方針などから判断する限り、ハッキングの危険性をはっきりとは認識していなかった可能性もあります。

おそらくコインチェックが今回、被害に遭ったのは偶然ではないでしょう。なぜなら今、「仮想通貨市場の4割は日本人が占めている」という報告もあるからです。

中国の仮想通貨取引所 日本や香港に活路を求める

かつては仮想通貨取引の9割を占めていたとも言われる中国では現在、仮想通貨を取り締まる動きが強化されています。中国政府は昨年(2017年)9月にICO(新規仮想通貨公開)を全面的に禁止する方針を打ち出し、韓国もそれに続きました。日本の金融庁は現状、規制強化に対しては「イノベーションの促進と利用者保護のバランスが大切だ」と発言するにとどめていますが、今後、日本がハッカーたちの標的にされることは、十分に考えられることです。

利用者が増えれば、当然ながらそれを狙って詐欺師や犯罪も横行します。今回の事件は、これから頻発するハッキング被害の序章に過ぎないのかもしれません。

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