「決まってから知らせる」から「刻々、情報」に変わる 武田邦彦集中講座『変わりそうな日本社会(7)』

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◆交通機関の遅延は「乗客が遅延時間を判断する時代」へ変わる

先日、ある会社の役員さんが「新幹線は良く止まる。そしてゼッタイに何時に開通するか言わないね」と話しておられました。確かにちょっとした雨で新幹線は止まりますし、雪なら15分ぐらいの遅れが普通だけれど、雨になると2時間、3時間と時間がかかります。

著者は名古屋から大阪に行く機会も多く、もし新幹線が早く復旧すれば新幹線を待つし、長ければ近鉄に切り替えます。でも状況を伝えてくれなければどうにもなりません。

ところが1ヶ月ほど前、豪雨で静岡県を中心として新幹線が止まったときの名古屋駅の放送は画期的でした。「現在、雨で**と**の区間が不通になっています」といういつもの放送に加えて、「停止している二つの列車は名古屋の近くにいて先に到着する予定です」、「到着予定時間はおよそ13時45分頃です(女性の声で別系統のように感じた)」、「静岡県の降雨の状態は***です」「まもなく動きますが、近くにいる2列車以後は遅くなる予定です」…などといつも不親切で有名なJR東海とは思えない放送が続きました。

逐一、放送されることを聞いていて、著者は「これは1時間30分遅れぐらいで」と判断し、大阪の会社に電話をしてその旨を説明し、現実にも1時間30分遅れで目的地に到着しました。会社は予約していた大きな講演会場をキャンセルせずに済み、お聞きになる方も満足して帰られました。

普段、JRが復旧の見込みを乗客に伝えないのは、1時間30分と言ったのに現実には2時間かかったというような場合、文句を言われるから言わないと思いますが、逆に時間が分かることによって乗客側は大きな損害を防ぐこともできます。

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