若さを保つ方法とは/訴訟というケンカを知る~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

若さを保つ方法とは

誰でもいつまでも若くありたいと考えますが、では若さとは何か。

確かに見た目や体力、運動能力などはわかりやすいけれども、生物である以上、老いは避けられません。

一方、年齢とは関係なく若さを保つ方法があります。

若さを構成するもうひとつの因子として、好奇心を失わないことや、ものの見方や考え方が柔軟であることが挙げられます。つまりよく言われていることだが、若さとは実年齢よりも脳年齢であると言いかえることができます。

この好奇心と考え方の柔軟さは車の両輪とも言えます。好奇心があれば、新しいことに興味を持ち、挑戦できる。

一方、物事の別の側面が見えて気づきが得られれば、学ぶことの楽しさを実感し、また新しいことを試そうと好奇心が保たれる。

たとえば読書でも、「なるほど、そういう考え方もあるのか」という気づきがあれば、本を読むのが楽しくなり、読書を継続できます。

好奇心は柔軟な思考を持つことによって満たされ、柔軟な思考ができれば好奇心も保たれる。それはつまり、ものの見方、捉え方を、よりリベラルに、多面的にしていくことです。

そのためには、自分の価値観や常識だけで物事を決めつけるのではなく、異論を受け入れる度量を持つ必要があります。

ただし柔軟さとは、自分の考えをコロコロ変えるとか、何でもかんでも「それいいね」「それもいいね」などと迎合することではありません。

軸となる考え方があり、そこに多様な考え方を肉付けしたり軌道修正したりして、より自分の思考を錬磨し進化させることです。

揺るがない根っこ(土台)の上に、新しい幹や葉をつけたり花を咲かせたり実を実らせたりして、自分の木を大きく育てていくイメージです。

年齢を重ねて知識や経験が増えていったとき、さらに学習効率を上げられるのはこいう人でもあります。

一方、「老害」などという言葉があるとおり、古い自分の考え方にしがみつき、常識や価値観を新陳代謝できない人は、加齢とともに脳も老います。

彼らは自分の考えに凝り固まって、そこから出てこない。自分の頭の中で、同じ考えが何十年もぐるぐると回っている。だから自分とは違う考え、違う価値観、違う生き方を認めることができず、反発し、否定する。

「今どきの若者は」という、年配者の典型的な言葉がありますがが、彼らは自分の時代の自分の価値観が絶対正しく、そうでないものは間違っているという発想をしているからです。彼らは何十年の前の価値観のまま止まっており、今の時代の若者の心理や行動を理解するのを拒否しているのです。

なぜそうなるかというと、ひとつは思考停止しているから。

自分とは違う考え方や他人の常識を理解するには、根底にある価値観やそれを形成するに至った時代背景などの変化に思いを馳せる必要があります。

しかし彼らは、そういう行為が面倒なのです。自分は正しく、それ以外は間違っていると判断すれば、何も考えなくて済む。これはラクです。

もうひとつは、プライドが高すぎるから。だから自分とは違う考えを受け入れるのは、何か自分が負けたような、くやしい感情に襲われる。

電車の中に突っ立って、混んできてもガンとして動こうとしない人や、車間を詰めて是が非でも割り込ませないドライバーのようなものです。

自分は正しいはず。自分は間違っているとか、自分とは違うものが認められるというのは、自分が持っているものの価値が低いように感じてしまう。彼らはそんな自分が小者扱いされるような感情に我慢ができず、自分の立ち位置を絶対的に高く置いておきたい。

そしてそれには、相手を否定するのが最も簡単な方法です。ガンコ者は、逆に自分が否定されたらキレやすいという性格を持っていることは、皆さんの周囲にも心あたりがあると思います。それはプライドの高さから来る副作用です。

だからよく他人を批判・否定する人は新しいものを受け入れることができず、おのずと好奇心を失っていきます。

そして自分とは違うものを受け入れられないということは、当然ながら勉強しても身に着くはずもなく、思考が新陳代謝したり進化したりすることもない。

できるのはせいぜい知識の暗記くらいで、資格は取れても差別化されたアウトプットを出すことはできないでしょう。こうして資本主義社会からは必要とされなくなり、経済活動からの引退を余儀なくされます。

そう考えると、20代にしてすでに老いている人もいれば、高齢になっても若々しい人がいるのは自明です。そして皮肉なことに、体感としても、それは見た目や運動能力に比例している印象があります。芸能分野に限らず、政治・経済などでも活躍している人は、70歳になっても80歳を超えても若々しく感じます。

そうした人は、好奇心を失わず、常に新しい情報や価値観を新陳代謝して、付加価値をつけた情報を発信しているものです。つまり「勉強は最高のアンチエイジング」と主張する人もいるくらい、若さを保つことにつながると言えます。

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