日馬富士は殴った後、どうするべきだったか? 武田邦彦集中講座『日馬富士事件と日本(1)』

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◆「暴行=違法」の法律よりも「殴るべきだった」倫理が目立った事件

横綱・日馬富士が平幕・貴の岩を殴って重傷を負わせた事件は、既にテレビでイヤというほど報道されましたが、いずれの報道も歯切れが悪く、この単純な事件をできるだけ複雑で、論理的では無い方向に持って行っているように思われます。

事件は単純な暴行事件で、抵抗しない相手に素手と凶器を使って頭に10針縫うまで殴り続けたというものです。まずこの事件を「倫理、法律」の面から単純に整理してみます。

日馬富士は、自分の後輩が大横綱である白鵬がお説教をしている時には、神妙に頭を垂れ、相手の目などは見ずにひたすら恭順の様子をして、時には「すみません」ぐらいは言う必要があると考えていたようです。

だから、貴の岩が不真面目な態度で聞き、さらに女性からメールが来たので、それを見ていたというに及んで感情が抑えられなくなり、殴りかかったとされています。相撲協会の中間報告では、「(貴乃岩が日馬富士を)にらみ返したり、せめて「すみません」と行っていたら暴力はなかった」と感情的な表現をしていますが、事実としてはそうだったのでしょう。心の中はどうであれ、お説教を受ける時には大人しくしていろと思っていたと推定されますし、まして日馬富士は貴の岩が批判されていることを知っていて、それをカバーしようとしていたので、余計にカッとなったとも思えます。

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