
「諦めないで!」
~被害者になってしまった場合のリカバリー方法~
こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。
警視庁の発表によると、2016年の1年間に警察が把握した刑法犯が、戦後初めて100万件を下回ったということです。そのうちの7割以上を占めていたのが窃盗犯ですが、こちらは10.4%減だったのに対し、代わりに現在、増え続けているのが詐欺などの犯罪です。
詐欺は4万999件で前年より4.0%増。振り込め詐欺などの特殊詐欺の他、インターネット販売によるトラブルや、サイト閲覧の架空代金請求など、近年は電子マネーにからんだ詐欺が特に増加傾向にあります。ある警察幹部は、新聞の取材に対して、「以前は窃盗などで短絡的にお金を手に入れようとしていた者たちが、最近は詐欺犯罪にシフトしているのではないか」とコメントしています。
かつては詐欺というと、被害者は主に高齢者が中心でしたが、現在ではインターネットなどを介して、その被害が若年層の間にも広がりつつある様子が伺えます。
記事で触れている特殊詐欺とは、不特定の人に対して電話、FAX、メールなどの手段を使って行われる詐欺のことをいいます。オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺などに加え、金融商品等の取引を語った詐欺、ギャンブル必勝法の情報提供を謳った詐欺、異性との交際をあっせんする詐欺、それ以外という計8種類の詐欺の総称です。
これらすべての詐欺に共通している特徴とは、内容的にはどれも単純で、凝ったものではないということです。基本的にはどれも「ウソを信じ込ませてお金を支払わせる」という手口になります。おそらく相手のウソと、こちらの状況が偶然重なった結果、ウソを真実だと見間違えてしまうのだと思われます。
いわば詐欺師は、こちらの心の動きを見抜いた上で、詐欺を仕掛けているワケです。
【Vol.35『リカバリー方法』目次】
〔1〕イントロ:あなたは投資という名の「ババ抜き」に参加してはいないか?
〔2〕本文:「諦めないで!」〜被害者になってしまった場合のリカバリー方法〜
1、なぜ、人は詐欺案件に引っかかってしまうのか?
◎投資詐欺師の戦法その1:誰もが持っている「欲望」を刺激する
◎投資詐欺師の戦法その2:知識、経験が欠如している相手を狙う
2、怪しい案件の「詐欺ポイント」を知る
◎投資詐欺案件に見られる「共通点」
◎世の中に「安全で高配当」の案件はない
3、詐欺師に人間性を期待してはいけない
◎「二次被害詐欺」の手口
◎詐欺師とは、「人をダマすプロ」のこと
4、実際に「詐欺に遭う」とどうなるのか?
◎お金を取り返すために訴えを起こした場合
◎お金のリカバリーは「いばらの道」
5、困難に立ち向かうメンタルを身につける
◎人間は「ひと筋縄ではいかない」もの
◎被害者を襲うさまざまな困難
6、「失敗」を「成功」に変える思考法
◎真っ当な投資にも失敗はつきもの
◎失敗は「成功へのパスポート」
7、地面の冷たさを知れば「V字回復ができる」
★本日のワンポイントアドバイス☆★
気になる投資セミナーに参加する際のチェックポイント3項目
〔3〕次回予告(予定):「副業時代のスタートアップ戦略」とは?〜事業をする上で欠かせない事務作業との付き合い方〜
〔4〕今週のQ&Aコーナー:「アフィリエイトってどうやって始めるの?」
〔5〕今週の気になるトピックス:
1、保険会社がAI導入 その成果は?
2、空港民営化によってビジネスチャンスは広がるのか?
〔6〕編集後記:「首相官邸の皆さん、ダバオへようこそ!」
◆〔1〕イントロ:
あなたは投資という名の「ババ抜き」に参加してはいないか?
突然ですが、あなたは宮沢賢治の『注文の多い料理店』という童話をご存じですか?森の中で道に迷った狩人が、たまたま見つけて入った料理店で、美味しい料理を食べるどころか、あべこべに自分たちが化け猫の餌食にされそうになる、という話です。
今日、これからお話する【投資詐欺】が発生する要因とは、実はこの『注文の多い料理店』とまったく同じ理屈になっています。どういうことかをご実感いただくために、先日逮捕者が出たバンリ・グループによる投資詐欺事件の例をご覧ください。
犯人は投資を謳って顧客に出資をさせておきながら、実際はお金をほとんど投資には回さず、さらなる投資金を集めるための広告宣伝費に充てていた、というものです。出資者は自分が儲けたいと思ってお金を投じていたのに、現実は犯人たちを儲けさせているにすぎませんでした。まさに、『注文の多い料理店』の狩人そのままだと言えるのではないでしょうか。
もともと、広告宣伝費というのは「集客」の領域であり、次の投資家に来てもらうか、今の顧客に増資をしてもらうために行うものです。本来であれば、投資家は知り得た投資情報をもとに「書かれていることは本当か?」「儲かる仕組みがあるのか?」といったことを精査しなくてはいけません。なのに、多くの人は「こんなに広告を出すくらい儲かっているんだ」「こんないい話があるんだ」とそのまま受け取ってしまいます。
詐欺を仕掛ける側は、投資家のこうした心理を見抜き、相手を信じさせるための手法をいろいろ講じています。バンリ・グループの例で言うなら、「有名人を起用する」「車体ペイントなどの派手な広告を打つ」ことなどです。ですから我々は、そうした相手の手口を知っておく必要があります。
投資詐欺とは、ある意味、トランプの「ババ抜き」にたとえられます。ババ抜きとは、ご存じの通り「最後にババを残した人が負け」というゲームですが、それが投資詐欺の場合は「お金が返って来ない」状態に相当します。
投資詐欺といっても、時にはすべての参加者が損をしない場合もあり、詐欺案件が破綻する前に売り抜けることができれば、出資しても「セーフ」になることはあります。けれど普通は、出資者は「儲かっている」と信じ込んでいますから、案件が破綻するまで詐欺に気づけない場合がほとんどです。
中には、もとから「損が100%確定している」案件もあります。そういう案件は、要は「配られたカードすべてがババ」ということです。
どちらのババ抜きにせよ、あなただったらそんなゲームに「参加したい」と思いますか?