マスコミはなぜ嘘を連発できるのか? 武田邦彦集中講座『メディアの錯覚を切る!(3)』





◆日本の考えと全く異なる裁判制度を取り入れたための弊害とは

明治維新で日本は大きくヨーロッパの文化を受け入れましたが、その多くは「形式的」で、実質的なヨーロッパ精神までもが浸透したわけではありません。その一つが「裁判制度」です。

江戸時代まで日本では警察(十手を持った役人)が犯人を逮捕すると、お白州(おしらす)に引き出され、奉行のもとで裁判を受けて刑が言い渡されます。その時には容疑者は「恐れ入りました」と素直に犯行を認めるのが道徳でした。これに対して、ヨーロッパでは警察が逮捕し、検察が起訴しても、それから裁判が始まり、そこで通常は被告人が容疑を否定してから裁判が始まりますから、日本とは180度考え方が違います。

明治時代に日本はまったく異なる裁判制度を取り入れましたので、今でも日本の裁判は大きく歪んでいます。つまり、刑事裁判の有罪率は99・6%を越えていて、欧米の60~70%とまったく違います。有罪率99・6%ということは起訴されたらほとんどが有罪なのですから、実質的に検察が「有罪かどうか」を決め、裁判官はそれをただ追認しているに過ぎません。

つまり、日本には「裁判制度はない」と言っても過言ではないのですが、これこそ急いでヨーロッパ文化を受け入れた日本の哀しさの一つなのです。

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