命令的な治療からその人の人生の目的に沿った健康維持へ 武田邦彦集中講座『変わりそうな日本社会(4)』

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◆血流が良くて何が悪いのか?日本の医療が「高血圧症」にこだわる理由

前回、分別・リサイクル、クールビズ(ネクタイを外せ)、禁煙運動など「科学的に意味の無い社会的イジメ」について整理をしましたが、似たようなことが「医療、病気の分野」にも見られます。

その典型的なものが「血圧130」でしょう。

人間がなんで「血圧」が必要かというと、細い血管を通じて体の隅々まで「血液」を送るためです。血の中には、1)酸素、2)栄養、3)白血球(細菌などを殺す)、4)ガン壊死因子(TNF)があって、人間の「活動」と「防衛」をしています。たとえば人間の体は一日に数1000ヶのガンのもとができるとされていて、血の中にあるTNFが分単位で防衛しているのです。

だから、温泉に入って血流を良くするのが健康に良いことは誰でも知っていますが、「血圧を下げる」ということは「血の巡りを悪くする」ということですから、健康に悪いことは当然です。それでも社会は高血圧学会や厚労省の広報を信用して「血圧は低い方が良い」と思っているのですから、自分で言っていることに矛盾があります。

高血圧学会がなぜ理屈に合わないことを言うのかというと、「血流が少なくなってガンや栄養不足になっても、高血圧学会には関係ない。高血圧で起こる脳卒中などの病気を減らせばそれで良い。そして、そのためには理屈に合わない『標準血圧』を決めて『高血圧症』の人を増やし降圧剤の売り上げを増やしたい」という、もう書くのも恥ずかしいぐらいの「医の倫理」に反することをしているからです。

そんなことをしているので、一方では、「血圧の医学」はとても遅れていて、「患者の適正な血圧」を測定することもできず、その結果、個別の患者さんの適切な血圧がわからないので、「平均の血圧を最適血圧とする」という非科学的な診断をしているのです。人の血圧はその人によって最適血圧があり、平均血圧がその人の最適血圧ではないのは当然です。

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