日本国憲法第9条の闇 武田邦彦集中講座『日本の闇・世界の闇(1)』

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◆憲法に違反している「自衛隊の存在」を最高裁が違反としない理由

今年は憲法改正が最大の話題になると思いますし、日本で初めて憲法を改正するかどうかの国民投票が行われるかもしれません。憲法改正を主な政策としている自民党が選挙では大勝していますが、投票総数から見ると選挙権を持っている国民の20%以下しか自民党に投票していません。それでも投票率が低く、小選挙区制という特別な選び方なので、自民党が大勝しているにすぎないので、国民投票となるときわどい勝負になるでしょう。

戦後70年もたって、不都合なことが多いのに憲法改正ができないのは、この問題に日本の闇と世界の闇が深く関係しているからに他ならないと思います。

憲法には「武力を持てない」となっていますが、現実には世界でベスト10に入る軍隊(自衛隊という名前)を持っているので、現在は憲法違反の状態にあることは間違いないですし、日本には最高裁判所というのがあり、学校では「憲法の番人」と習いますが、なぜ最高裁判所は自衛隊が憲法違反だという判決を出さないのでしょうか?

それには「日本国憲法第9条の闇」があまりに深いことが原因しています。

…1945年に日本が戦争に負けて、アメリカ軍に占領されました。一時的に「日本国」はなくなってしまったのですから、それは大変なことでした。でも、戦争から6年ほどたった1951年にはサンフランシスコ講和会議で平和条約が結ばれ、日本は再び独立したのです…

…というのは日本の教科書で教えている「ウソ」で、本当はまだ日本は独立していません。戦後の世界には「深い闇」があり、その中で私たちは生きているのです。だから奇妙なことも起こります。

歴史を振り返ると、17世紀にヨーロッパではあまりに続く戦争に疲れ果て、ウェストファリア条約を結び、戦争が起こらないようにいろいろな規則を決めました。それから200年ほどの間に、少しずつ世界は戦争に関する規則やその他の「国際法」が整備されていきました。

一つの国の中では「政府、国会、法律、警察、裁判所」などがあるので、悪い人や暴力をふるったりすると逮捕され、監獄に入らなければなりません。ところが、世界には政府も警察もありません。一応、形式的には国連があり、国際裁判所もあるのですが、強制力がなく、単に行動の目安を決めるだけです。

事実、アメリカがイラクを攻めてフセイン大統領を殺害したことがありましたが(イラク戦争)、アメリカがイラクを攻めた理由とした「大量破壊兵器を持っている」というのはアメリカの作り話でしたし、国連も国連軍を派遣せず、正確に言えばアメリカが戦争の好きな国を集めて多国籍軍を作り、イラクに侵略したという戦争だったのです。

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