夫婦…男女というもの~武田邦彦集中講座『家族の科学(3)』

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◆もともと生まれも育ちも違う「夫婦」はうまくいかないのが当然

兄弟は親から同じ遺伝子を貰っていますし、小さい時から一緒に住んでいて、考え方も似ています。それでも兄弟仲良くというのは意外に難しいものです。それは親子でも同じで、遺伝的には十分に近い存在ですが、親子の意見が一致するのは難しいのですが、このことは前回に社会の正義の変遷との関係で整理をしました。

いよいよ夫婦の順番ですが、夫婦は、兄弟や親子と比較すると「うまくいかないのが普通」と考えられます。もともと男と女ですから、考え方も生まれ育ちも、社会とのかかわりも違うのですから、意見が一致することなど普通なら全くないと予想されます。

でも、多くの人は誤解していて、「愛」があるから大丈夫と思いますが、愛というものは変遷しやすく、時間とともに変わっていきます。これも普通に考えると、「愛妻弁当は半年、愛は3年」と言われます。これも当然で、人間は毎日一緒に生活していると飽きが来ますし、第一、人間の男性が女性に対して感じる愛情というものは、進化の途中に大きく変化して特殊な感情になっています。

このようなことをよく整理して頭をすっきりさせておかないと、喧嘩ばかりの夫婦になったり、ついには離婚になることすらあります。ここでは、まず両性生殖が始まった12億年前からしばらくして、「オスとメスの関係」がどのように変化していったかから始めます。

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