「ブロックチェーン旋風がお金の世界を変える時」(上)~技術革新がもたらす未来とは~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol. 113

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

銀行と言えば、かつては常に「就職したい企業」の上位にランクインしていたものです。しかし現在、大手を中心に人員整理の動きがあり、たとえば3メガバンクだけでも、今後10年ほどをかけて2万6000人の人員削減を行う予定です。同時に、デジタル技術やAI等の活用によって、3万2000人分の業務量の効率化にも乗り出す、としています。

それまでにも、キャッシュレス化の波は徐々に押し寄せてきてはいました。しかし仮想通貨が出てきてからというもの、その流れに拍車がかかっています。さらに仮想通貨の核となる技術・ブロックチェーンの登場が、銀行の存在を脅かす事態となっています。

★俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

【Vol.113『ブロックチェーン(上)』目次】

〔1〕本文:「ブロックチェーン旋風がお金の世界を変える時」(上)〜インターネットに匹敵する技術革新が私たちにもたらす未来とは?〜

1、技術革命が、我々の生活を劇的に変える

 ◎なぜ、仮想通貨の流出を止められないのか?

 ◎技術革新によって銀行は消えるのか?

2、仮想通貨はバラ色の未来を人類にもたらすことができるか

 ◎ブロックチェーンのどこがそんなにすごいのか?

 ◎大混戦の仮想通貨業界!その行く末とは?

〔2〕次回予告(予定):「ブロックチェーン旋風がお金の世界を変える時」(下)〜インターネットに匹敵する技術革新が私たちにもたらす未来とは?〜

〔3〕編集後記:社長を交代します!

〔4〕今後の特集スケジュール:2018年11月〜12月予定

◆〔1〕本文:

「ブロックチェーン旋風がお金の世界を変える時」(上)〜インターネットに匹敵する技術革新が私たちにもたらす未来とは?〜

金融はもともと参入障壁が高く、規制の多い業界です。規制はユーザー保護の観点から、確かに必要ではあるものの、以前はできなかったことの多くが、現在は技術でカバーできる時代になっています。近年、コンビニ業界やEC業界といった、他業界が金融業に参入する動きも加速しており、今後もそうしたサービスを提供する企業は増えていくでしょう。

そこで今回は、2回シリーズで「激動の金融業界」についてお話したいと思います。本特集を通じて、「金融業界が今後、どうなっていくのか?」「その変化に対して、私たちはどう行動すべきなのか?」といったことをお伝えできればと考えています。

■1、技術革命が、我々の生活を劇的に変える

本特集を執筆するに当たり、スペシャルゲストにお越しいただいています。一般社団法人日本IFP協会にて、金融テクノロジー研究室顧問を務めていらっしゃる坪井健(つぼいけん)さんです。坪井さんは暗号化技術のスペシャリストであり、同じく暗号技術の粋を集めてつくられた仮想通貨にいち早く注目し、リップルゲートウェイを日本で最初に開設した方でもあります。

坪井さんは、書籍『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』の共著者でもあります。本日は仮想通貨と、それを支えるブロックチェーン技術を中心にお話をお伺いすることにしましょう。(以下、本文中について、名前が出てこない限り同一話者、敬称略)

※一般社団法人日本IFP協会…正しい金融知識を世の中に広めることを目的に、世界中の金融商品を比較・研究している団体。

【なぜ、仮想通貨の流出を止められないのか?】

俣野:それでは坪井さん、よろしくお願いいたします。早速ですが、9月14日にテックビューロが運営する仮想通貨取引所のザイフ(Zaif)から、再び約70億円相当の仮想通貨が流出する、という事件が起きました。今年(2018年)の1月にコインチェックから約580億円もの仮想通貨がハッキングされたばかりですが、世界的に見れば、ほとんど毎月のようにどこかで事故が起こっている、と言ってもいいかもしれません。

テックビューロ解散へ 事業をフィスコグループへ譲渡

https://www.asahi.com/articles/ASLBB5WC0LBBULFA036.html

俣野:この状況を見た多くの人は、「仮想通貨はやっぱり危ない」というイメージを持っているのではないかと思いますが、いかがでしょうか?

坪井:そう思う人たちにとっては、意外なことかもしれませんが、事件は仮想通貨が原因で起こっているわけではありません。ご存じのように、電子データとは本来、いくらでも複製が可能です。ところが、非常に強固な数学的理論に基づき、取引記録を改ざんできないようにしたのが仮想通貨です。

現在、起こっている事件の多くが、実は取引所に起因しています。イメージしやすいように、仮想通貨を純度99%の金貨にたとえると、問題は金貨ではなく、金貨を保管している金庫(取引所)にあります。極端に言えば、カギのかからない金庫に金貨を保管しているようなものです。それは、インターネットがオンラインを通じて世界とつながっている以上、避けようのないことです。現状、カギをかけたければ電源を切るか、別の安全なところに保管するしかありません。

ユーザーはこうした事実を知った上で、どう利用していくのかを自ら決めなくてはなりません。もともと、利便性と安全性は相反する関係にあり、安全性を向上させようとすれば、それだけコストや人件費が跳ね上がります。技術者の数も、圧倒的に足りていません。それらすべてを、経営の不安定なベンチャー企業に背負わせようとするのは難しいでしょう。仮想通貨はまだ、実用的なものになっていないのです。

仮想通貨がお金である以上、それを奪おうとする者は必ず現れます。現在、仮想通貨を盗む方法は、大きく分けて2つです。1つは、通貨の電子データを書き換えること。これは先ほども言った通り、非常に強固に設計されています。もう1つが、取引所のシステムに入り込み、ニセの送金指示を出してコインを飛ばしてしまうこと。コインチェックもザイフも、この方法で盗まれました。

仮想通貨の核となるのがブロックチェーン技術です。ブロックチェーンとは、データを塊(ブロック)に区切って保存し、それをチェーン状に連ねているために、こう呼ばれます。チェーンの接続部分には、前のブロックデータが一部含まれるため、途中を改ざんすればデータに狂いが生じ、盗難が判明します。ビットコイン等は透明性を保つ目的で、ネット上にブロックチェーン情報をすべて公開しています。仮想通貨とは、早い話が取引を記録した電子データのことです。

俣野:仮想通貨は基本的に、取引記録をさかのぼることが可能で、それも不正を防ぐ仕組みの1つと言われています。しかし今のところ、盗られた通貨は戻ってきていませんね?

坪井:さかのぼることはできても、ビットコインなどは、取引記録と個人情報が紐付いていません。その点は現金と同じです。たとえばお店でもらったお釣りの前の持ち主が誰だったのかはわかりませんよね?ただ現在、日本の取引所では取引に際して個人情報の提出を求められますから、金融庁は当然、それらを把握できる立場にいます。しかしそれとて、限られた範囲内でのことです。

もっと仮想通貨の用途が広がり、「こんなことができます」「あんなことができます」となるのは、もう少し先の話になるでしょう。もしかしたらその時の通貨は、今のものとは違う姿になっているかもしれませんが、社会に浸透するのはそう遠いことではないはずです。1つだけ確かなのは、「もうこの流れは止められない」ということです。

【技術革新によって銀行は消えるのか?】

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