「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(上)~もしもの時に慌てないための相続税対策とは~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.68

「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(上)

~もしもの時に慌てないための相続税対策とは~

 こんばんは。俣野成敏です。

 今も昔もトラブルになりやすい遺産相続。親の権力移譲や莫大な財産などを巡って、これまで古今東西で骨肉の争いが繰り返されてきました。

 先日、フォーブスジャパンに掲載されていた「ある保険会社の調査」によれば、アメリカ人が相続時に遺産を継承できない理由の第一位が「親族との不仲」でした。その他の理由としては、「犯罪歴がある」「有効な資産管理ができていない」などが挙がっています。

 逆に、渡す側が「この人に遺産を相続してもらいたい」と考えていたのが、「自身の資産管理を賢く行っている」「親戚として良好な関係を維持している」といった人たちでした。それ以外にも、慈善活動を行っていたり、「子どもの教育に熱心に取り組んでいる人に相続してもらいたい」との回答もありました。

 ここから、人々が「自分の遺産を引き継ぐ人には、そのお金を有効に使ってもらいたい」と考えている傾向が伺えます。

遺産を相続できない原因 米国人「不和」が第一位



【Vol.68『生前贈与(上)』目次】

〔1〕イントロ: どんな世の中になっても、お家騒動はなくならない?!

〔2〕本文:「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(上)〜もしもの時に慌てないための相続税対策とは〜

1、なぜ今、贈与が注目されているのか?

 ◎これからは「売るに売れない不動産」相続が増える

 ◎以後はますます生前贈与が不可欠になる

2、贈与には、大きく分けて2つの方法がある

 ◎贈与でもっともポピュラーな方法とは「暦年贈与」

 ◎まだ余り一般的ではない「相続時精算課税」

3、相続問題を避けていると、「後顧に憂いを残すことになる」

★本日のワンポイントアドバイス☆★

☆今週の宿題★☆

 贈与について、身近な事例を探してみよう

〔3〕次回予告(予定):「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(下)〜もしもの時に慌てないための相続税対策とは〜

〔4〕ニュースのビジネス的着眼点: 住宅ローンの金利は今後、上がる?下がる?

〔5〕編集後記: 「強まる人手不足」の陰で・・・

〔6〕編集後記: 福岡市にお住まいの方にお知らせです!

〔7〕今後の特集スケジュール: 2017年9月〜10月予定



◆〔1〕イントロ:

 どんな世の中になっても、お家騒動はなくならない?!

「金融立国」として、当メルマガでもおなじみのシンガポール。これまで大胆な施策や低い税率などによって繁栄してきた同国が今、岐路にさしかかっているようです。

 同国繁栄の基礎を築いたのは、2015年に逝去したリー・クワンユー初代首相です。もともと、シンガポールとはマレーシアの一部でしたが、民族問題などを発端に1965年、マレーシアから分離独立せざるをえませんでした。クワンユー氏は、時には独裁と非難されながらも、規律を重んじ、徹底した経済成長を推し進めることによって、短期間で同国を世界経済のハブとすることに成功しました。

 いまだに成長を続けるシンガポールですが、ここへきてリー一族による支配にもほころびが出始めています。クワンユー氏が逝去してから2年あまり経った現在、氏の3人の子供が利権をめぐって争う事態となっています。目下、首相を務めているのはクワンユー氏の長男であるシェンロン氏ですが、氏の権力が強まることを恐れた次男のシェンヤン氏、長女のウェイリン氏との関係悪化が表面化しています。

 争いの発端は、クワンユー氏の「死後、自宅は取り壊すように」との言葉を現首相が守っていないことに始まります。弟妹は「現首相は邸宅を自己の権力の源泉にしようとしている」と主張しており、妹のウェイリン氏は、遺書で認められた私邸の居住権を行使する構えだということです。

 元来、リー家はこれ以上はないくらいきらびやかな経歴を持つエリート一家です。クワンユー氏は名門ケンブリッジ大学で法律学を収め、同校を首席で卒業しています。かつて、同じく最優秀で卒業した妻とともに弁護士事務所を開いていました。現在、争っている長男と次男も元ケンブリッジ生、長女は国立大学を卒業して医者となっています。

 これだけ頭脳明晰な一族でありながら、それでも相続争いが起こってしまうというのは、「知性では感情的な部分まではコントロールできない」ということの表れなのでしょうか。

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