沖縄のアメリカ軍基地反対運動の目指すところ 武田邦彦集中講座『日本の闇・世界の闇(5)』

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◆アメリカ軍が撤退したら…「沖縄は1週間で中国領になる」

私は政治的に右でもなく左でもありません。ただ、私が政治的なことや経済的なことを整理するときには、あくまでも「科学的視点」でおこないます。「科学的視点」とは、事実を重視し、自らの意見や希望を入れずできるだけ客観的事実や歴史的経過などに基づいて論理的に考えることです。立場や意見があると、ついそれに引きずられますので、それを常に気を付けています。

今回は、沖縄のアメリカ軍基地の存在と反対運動の目的を科学的に整理してみました。

先日、ある外人の研究者で日本、沖縄などの研究をしている方と議論しました。私が「もしアメリカ軍が沖縄から撤退したら、どのぐらいの期間で沖縄は中国領になるでしょうか?」とお聞きしたら、直ちに「一週間ぐらいと思います」とお答えが返ってきました。考えは人によって違いますが、外国人は日本人と違って、「こういうと変人に見えるのではないか?」とか、「相手は違う考えではないか」などはあまり考慮せず、自分はこう思うということをストレートに言いますので、議論は楽です。

私も一週間かどうかは別にして、沖縄からアメリカ軍が撤退したら、日本が沖縄を守るのは不可能と思っています。以下、まずはその根拠を簡単に箇条書きで示したいと思います。

1)中国は公式に「沖縄は中国領」と言っている。

2)中国は周辺諸国で自国領にしても国際的に非難されなければ領土を拡大するのが「正しいこと」と思っている。

3)アメリカ軍が沖縄から引いたら、沖縄の自衛隊では沖縄は守れない。

4)沖縄から撤退したアメリカ軍は、アメリカと中国の戦争になる危険性を冒して、沖縄を守ることはしない。

日本人と日本に流布されている歴史などから、日本人は沖縄は日本領で、中国共産党は平和を愛すると思っていますが、それは国際常識からかなり離れていると言えるでしょう。

中国は数年前から「尖閣諸島はもとより、沖縄は中国領だ」と人民日報などの機関誌に載せていますし、中国で販売されているスマホの中には沖縄の地図のところに「中国領沖縄地区」と書いてあるものもあります。歴史的にみても、第三者が見ても沖縄は独立国だったというのはありますが、ずっと日本領だったという根拠はありません。

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