「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(中)~失敗しない新興国投資とは?~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.74

「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(中)

~失敗しない新興国投資とは?~

 こんばんは。俣野成敏です。

 前回、新興国投資の事例として取り挙げたフィリピン・ダバオ。俄然、注目度が上がっています。

大阪市がダバオをプロモーション

 市が観光協会や大使館の協力も取り付けて強力に推し進めているようです。市のレベルでも、これだけの盛り上がりを見ているのですから、当然、民間がダバオの繁栄を放っておくはずがありません。実際、民間企業によるダバオの進出はもっと前から始まっています。

 たとえば、日本を代表する小売形態であるコンビニエンスストア。最近、コンビニ業界の世界進出には目覚ましいものがありますが、最大手であるセブン-イレブンがダバオに1号店をオープンしたのは2015年のことでした。それから、わずか2年の間に約250店を出店するという、驚異的なスピードです。取材したダバオチームの話によると、こうした破竹の成長を反映し、セブン-イレブン・フィリピンの株価は、この10年で約100倍になったのだとか。

セブン-イレブン・フィリピン チャート

 ただし、フィリピンはフランチャイズ大国ですので、出店した店舗のほとんどはフランチャイズです。もともと、貧富の差が激しいフィリピンでは、お金持ちは桁違いの資産を持っています。彼らは当然、土地も持っていますから、商機と見るや、出店の仕方も半端ないワケです。こんなところからも、フィリピンのお国事情が見て取れます。



【Vol.74『新興国投資(中)』目次】

〔1〕イントロ: フィリピン経済を理解する上で外せない2つのキーワード

〔2〕本文:「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(中)〜失敗しない新興国投資とは?〜

1、新興国投資の光と影

 ◎現地価格で土地を仕入れる究極の方法とは

 ◎現地の生情報を仕入れるのにもっとも適した商売から始める

2、投資に「近道はない」

 ◎幸運は、“目の前にある”だけではつかめない

 ◎「ダバオの奇跡の成長」は、今始まったばかり

3、日本人をもっともダマしているのは“日本人”

★本日のワンポイントアドバイス☆★

☆今週の宿題★☆

「自分は投資をする覚悟ができているかどうか?」を考えてみよう

〔3〕次回予告(予定):「新興国投資でキャピタルゲインを得る方法」(下)〜失敗しない新興国投資とは?〜

〔4〕今週のQ&Aコーナー: 投資はやっぱり運次第?!

〔5〕編集後記:  マネースクール 全国展開に向けて始動!

〔6〕今後の特集スケジュール: 2017年11月予定



◆〔1〕イントロ:

 フィリピン経済を理解する上で外せない2つのキーワード

 フィリピン経済を考える際に、外せない重要なキーワードが「海外送金」と「財閥」です。海外で働く出稼ぎ労働者による送金は、GDPの1割を占めるとも言われ、昨年(2016年)の送金額は過去最高を更新したものと見られています。フィリピンペソが他の東南アジア国の通貨に比べて下落幅が少ないのは、送金によって外貨準備が対外債務を超える勢いで積み上がり、通貨の信用力に一役買っているからです。

 もう一つのキーワードである「財閥」は、フィリピン経済の中で隠然たる影響力を持っています。フィリピンの財閥は、大きく分けるとスペイン系と中華系の2つがあります。

 スペイン系というのは、フィリピンがその昔、スペインの植民地だったことからきており、代表的な財閥はアヤラグループです。彼らは所有している土地をもとに不動産事業やショッピングモールなどを経営し、グループ企業の中には銀行や通信事業などを行なっているところもあります。中華系の財閥には商業分野で大きな力を持つSMグループなどがあります。

 スペイン系財閥・アヤラランドの名を一躍高めたのが、メトロ・マニラ南部にあるマカティ市開発プロジェクトです。ダバオチームによれば、彼らは約100年という時間をかけて、もとは沼地だったマカティを開発した結果、今ではフィリピンでもっとも地価の高い地域へと変貌しました。このように、安価な土地を買って開発をかけることによって、付加価値をつける手法を「ランドバンキング」と言います。

 歴史をたどってみると、実はかつての日本もそうでした。日本が1945年に終戦を迎えた時、東京は一面焼け野原で、地価も最低だったでしょう。田舎に避難している人も多い中で、現在の東部電鉄や東急が、疎開者から安く土地を購入して、現在の街を築きました。今の東京の地価は、その当時からすると、おそらく10万倍、100万倍くらいになっているのではないでしょうか。

 アジアの他の国々、たとえばマレーシアやシンガポールの財閥なども、ここ数十年でそれを繰り返してきました。今、フィリピンのダバオも、そうした投資対象の一つとなっているワケです。

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