政府以外にどこに赤字があるのか? 武田邦彦集中講座『すぐ給料を二倍にする方法(2)』



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◆日本国全体には本当に膨大な借金があるのか?

読者の方は、財務省やNHKという権威のあるところが、ここ10年以上も繰り返し「日本国には膨大な借金がある」「そのツケを子供に回してはいけない」「だから消費税を上げて、財政を立て直す必要がある」というのを聞いているのだから、おいそれと著者の言うことに納得するはずもない。

確かに政府には借金がないのかも知れないが、日本国全体には借金があるのではないか?と思うのが素直な日本人だろう。

そこで、何段階かに分解して、収支決算をしてみる。

まずは日本政府の連結決算だ。企業に単独の決算(子会社などを含まない決算)と、連結決算(その会社が支配している子会社などを含めて決算)の2種類があり、本当にその会社の状態を知るには連結決算を見てみなければ分からないことは誰でも知っている。

日本政府の大きな子会社は日銀だが、その外にも政府が財産を自由にできる機関は多い。それらを合計すると、資産が900兆円、国債が350兆円、徴税権が750兆円で合計約2000兆円だ。政府単独が約1000兆円だから、連結にすると約2倍の資産を持っていることになる。

これに対して負債は国債が1350兆円、日銀券が350兆円で1700兆円だ。日銀券は負債のように感じられないかも知れないが、現実には日銀が「金などの裏付けなし」に発行しているので、負債は負債である。

単純な引き算でわかることだが、連結ベースの場合、資産が2000兆円、負債が1700兆円だから、差し引き300兆円だけ「余っている」。つまり連結した日本政府は赤字どころか300兆円も余っているし、日銀は日銀券をさらに発行して国債を買い上げたりできるので、利子を払わなければならない国債を自分の意思で減らすことすらできる。

さらに、「日本国全体」を見てみよう。

(日本国全体=政府+銀行(金融機関)+会社+個人)だから、財産全体は政府よりズッと多い。政府が480兆円、銀行が2700兆円、会社が850兆円、個人が1500兆円で、日本国の資産は約5600兆円だ。国全体で計算するときには、政府が発行した国債の償還権は銀行や国民が持っているので、銀行や国民の資産として計上している。

一方、負債は政府が1000兆円、銀行が2700兆円(資産と同じ)、企業が1200兆円、そして個人が400兆円で、300兆円ほど余っている。

つまり、政府の借金だけ言えば1000兆円の借金と言うけれど、日本国全体では300兆円も余っているし、会社は350兆円ほど、個人は1100兆円も貯金がある状態なのだ。

◆今の日本国は子供に借金を残すことなく、消費税ゼロが実現可能である

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