こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。
2018年の金融市場は、記録ずくめだったようです。
平成最後の年となった去年。株式市場では高値も安値も両方付けましたが、海外投資家による日本株は5.6兆円超の買い越し。世界的な不協和音も聞こえてくる中にあって、2019年は、いろいろな意味で調整の年となりそうです。
2018年の年初にフィーバーした仮想通貨は、大規模な流出事件を繰り返して失速。業界では、早くも淘汰が始まっています。一方、みずほフィナンシャルグループが、今年の3月にデジタル通貨を発行すると発表。17年に表明していたJコイン構想を始動させることで、キャッシュレス競争に本格参入する模様です。
★俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編
【Vol.119『投資についてのQ&A(3)』目次】
〔1〕本文:「2019年の投資を検討する前にチェックしよう!」〜投資の疑問に答えるQ&A集(3)〜
1、仮想通貨に関するQ&A編
◎仮想通貨は、もうこのまま浮上しないのか?
◎仮想通貨が詐欺なのか?それとも仮想通貨を使った商品が詐欺なのか?
2、「投資家になる」ためのQ&A編
◎投資をすれば、人生を変えられる?
◎会社員にならずに、いきなり自力で生計を立てられるか?
〔2〕次回予告(予定):「困難を乗り越え飛躍する人と、途中で失速する人の違いとは?」〜現場で生まれたマネジメント格言集(5)〜
〔3〕編集後記:ツィッター始めました!
〔4〕今後の特集スケジュール:2019年1月〜2月予定
◆〔1〕本文:
「2019年の投資を検討する前にチェックしよう!」〜投資の疑問に答えるQ&A集(3)〜
株式などの市場価格に影響を与える要素は複数存在するため、短期的な価格の上下はあるにせよ、長期的に見た場合、少子高齢化が進んでいく日本経済が縮小するのは避けられない情勢です。そうした未来が見えている以上、私たちは、自分の身は自分で守ることを考えていかなければなりません。当メルマガでは、今年も主にこの観点から特集を組んでいく所存です。
2019年最初の特集は、投資Q&A編をお送りします。この特集は、私が金融の専門家と共同開催しているマネースクールで行われた質疑応答がベースになっています。もし、それ以外に聞きたいことがございましたら、特集の末尾で質問もお受けしています。
■1、仮想通貨に関するQ&A編
最初のQ&Aは、仮想通貨に関するものです。まだ、現在は仮想通貨の未来像が描けているとは言い難い状況です。仮想通貨は今年、新たな段階に入るのか?それとも、このまま失速してしまうのでしょうか?
【仮想通貨は、もうこのまま浮上しないのか?】
Q1、「仕事で銀行のシステム開発に携わっている。今、日本のメガバンクが次々と仮想通貨の発行を表明しているが、どの程度、普及していくと思われるか?」
A、冒頭で、みずほフィナンシャルグループがこの3月にデジタル通貨を発行すると発表したことをお伝えました。この分野で先行している三菱UFJも今年、独自の仮想通貨コインMUFGコイン(昨年の10月にcoinと名称変更)を使った10万人規模の大規模実証実験を行う予定となっています。
しかし相場的に見て、現在の仮想通貨市場は縮小気味であり、そのあおりを受けて、マイニング事業者なども打撃を受けています。マイニングとは、仮想通貨の生成に携わることで、その一部を報酬として受け取ることを言います。仮想通貨高騰時には、それを事業化した者が多くいましたが、下落によって採算が合わなくなり、撤退する事業者が相次いでいます。
なぜ、このように仮想通貨を推進する者と、撤退する者の両方がいるのかと言うと、現在の仮想通貨には、以下の3つの流れがあるからです。それは、
1、既存の権力が及ばない、新しい勢力圏を構築する役目としての流れ
2、既存貨幣のデジタル化
3、株式に代わる、その会社の権利の一部を通貨として発行する流れ(ICO)
…です。
つまり、先のメガバンクの発行する通貨は2の流れを受けたものであり、業者が撤退しているのは、主に1に起因しています。
元祖・仮想通貨とも呼ぶべきビットコインは、もともとは技術者の知的好奇心から生み出されたものと考えられています。ところが、それが既存の枠組みに収まらない革新的な発明だったために、思いがけず既存勢力の利権を脅かすこととなりました。そのため、仮想通貨は既得権益層から警戒され、各国で法の規制の管理下に置こうという動きが強まっています。今はどこで折り合いをつけるのかを、模索している最中です。
3のICO(新規仮想通貨公開)に関しては、これまでIPO(新規株式公開)の高いハードルに阻まれ、資金を集められなかったベンチャーなどを中心に、急速に広まりつつあります。ここでも規制が始まっていますが、過渡期特有の玉石混交状態になっています。仮想通貨と一口に言っても、実際はこのように複数の流れがあり、またそれを支える技術(ブロックチェーン)も革新的であったがために、仮想通貨の出現は“革命”とも呼ばれているのです。
さて。ご質問いただいた内容は、2の「法定通貨の電子化・仮想化」、いわゆる電子マネーに相当します。これに関しては、国によっても電子化の事情が違うと思います。一般的に、通貨の電子化は、紙幣・硬貨を含めた貨幣の利便性が悪い国ほど、普及している傾向があります。一例を挙げると、中国などは電子マネー化が急速に進んでいます。偽札の問題・海外への資金持出の制限・ATM等、機材のクオリティが低い、といった事情があります。
たとえばATMにカードを入れると、吸い込まれたまま返ってこない、ということがよくあります。日本では考えられませんよね?日本は、現金決済が非常に発達し、またそれで不都合のなかった社会です。東京オリンピックを控えた今になって、ようやく電子マネーの環境整備を進める動きが出始めてきました。質問への返答としては、「日本でも、利便性が上がれば一気に普及する」というのが答えです。法定通貨の電子化は、単なる置き換えに過ぎませんから。