「奨学金破産について考える」~金融の専門家が社会問題にメスを入れる!~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.99

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

アメリカで2011年5月まで放映されていた『オプラ・ウィンフリー・ショー』というトーク番組があります。25年近くも放映された同番組は数々の賞を受け、アメリカ最高のトーク番組と言われました。司会のオプラ・ウィンフリー氏は1954年生まれの64歳。今は富裕層の仲間入りをしている氏ですが、子供時代は親戚の間を転々とする生活を余儀なくされていました。幼少の頃より成績優秀だった氏は、後に奨学金を得てテネシー州立大学に進学しています。

1996年4月、ウィンフリー氏は自分の番組上で、当時アメリカ政府や食肉業界によってひた隠しにされていた狂牛病の実態を暴露しました。元牧畜農家のハワード・ライアン氏をゲストに迎え、現場の生々しい様子を詳しく聞き出すウィンフリー氏。これによって、氏はアメリカ全土の牛肉業者から名誉毀損で訴えられてしまいます。けれど、ウィンフリー氏は自分がしたことは正しいと固く信じていました。

氏は「自分が不当な扱いを受けるいわれはない」として、彼らの攻撃に対して無視を決め込みます。裁判は、政界などに太いパイプを持つ原告側に有利に進みました。追い詰められたウィンフリー氏は、ついに「いずれ彼らには天罰が下るはずだ」という考えを捨て、裁判に勝つために立ち上がりました。そして全力で問題に取り組み、勝訴したのです。このように、誰だろうと問題に向き合わない限り解決することはできないことを、この一件は物語っています。

【Vol.99『奨学金破産』目次】

〔1〕イントロ:

「あなたはどれだけのことを、自分で決めているか?」

〔2〕本文:「奨学金破産について考える」〜金融の専門家が社会問題にメスを入れる!〜

1、奨学金とは、就職後の給料を前借りすること

 ◎単純に「後で返せばいい」とはならない奨学金

 ◎大学へ行くにも投資発想が必要

2、今、奨学金を返済している方々の家計簿を診断してみると

 ◎「奨学金返済が重荷に…」Aさんの事例

 ◎「奨学金を繰上げ返済したものの…」Bさんご夫婦の事例

 ◎「奨学金の返済が少なければ余裕も生まれやすい」Cさんご夫婦の事例

3、向き合うことが、解決への第一歩

〔3〕次回予告(予定):「三田紀房先生対談を全公開!」〜有料メルマガ第100回特別記念〜

〔4〕今週のQ&Aコーナー:「節税本を紹介してください!」

〔5〕編集後記:総合格闘家の神童・那須川天心が推薦した格闘家とは

〔6〕有料メルマガご購読ご愛顧キャンペーン:マネースクール会員200名突破記念特別プレゼントのお知らせ

〔7〕今後の特集スケジュール:2018年6〜7月予定

◆〔1〕イントロ:

「あなたはどれだけのことを、自分で決めているか?」

私たちは普段、「自分という人間は、自分の意思の力によって行動している」と思っています。ところが実際、人はほとんど自分の意思に基づいた行動などしていません。だったら何に基づいて行動しているのかと言うと、主に2つの方法によっています。それは、

(1)従来の習慣に従う

(2)他人の行動を見て、自分もそれをマネする

のいずれかです。

たいがい、人は自分が経験したことのあることに関しては(1)をもとに判断し、経験したことのないことについては(2)をもとに決めています。つまり「未経験のことは(2)、経験済みのことは(1)」の順番で決めているわけですから、結局のところ、自分ではほぼ決めていないのと同じことです。これが、私たちが「その他大勢」の中からなかなか抜け出ることができない一因になっているのです。

たとえば「どの大学に行くか?」とか「どこで働くか?」というのは人生を左右する大きな決断ですが、そもそも「大学に行くべきなのかどうか?」といったことも含めて、人は多くの場合、他人の様子を見て決めているのが実情です。確かに、かつてはその選択基準でうまくいっていた時代がありました。けれど“個性”を尊重する今の時代にそぐわないことは明白です。

大学を例にとれば、今は私立の文系に4年間通うと、学費だけで500万円くらいはかかります。それだけのお金を、私たちは深くも考えずに費やしているわけです。しかも、親がどんなに苦労してその学費を大学に支払ったところで、子供にはそのお金の重みは理解できません。社会経験の少ない子供に一生懸命、道理を説いたところで、たいていは煙たがられて終わります。

そこで私は、子供に「大学進学にかかる費用は授業料だけで500万円。もしこれを今渡したとしたら、それでも大学に行くのか?それとも行かずに、このお金を自分で運用して殖やすのか?または貯金して自分は働きに出るのか?自由に選べるとしたらどうする?」と投げかけました。

結果的には、子供は大学へ進むことを選びました。特にどれが正解、というのはありません。ただ「自分が大学進学する目的な何なのか?」といったことを、一度、立ち止まって真剣に考えてもらうきっかけにはなったと思います。

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