フェイクニュースで作られる正義 武田邦彦集中講座『日本の闇・世界の闇(3)』

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◆なぜ、アメリカ大統領選挙でヒラリー氏が圧勝だという情報が流れたのか?

私たち日本人は今から1年ほど前、アメリカの大統領はヒラリー・クリントンがなるとばかり思っていました。それが蓋を開ければトランプ氏が大統領になったのです!これが「アメリカ大統領の情報」だったからよかったようなものの、巨大地震とかミサイル来襲の情報が間違っていたら、それこそ大変です。

トランプ大統領の当選というのは「予想が外れた」というものではなく、ヒラリー・クリントンを当選させたいアメリカの主要メディアが「情報を操作=フェイクニュースを流す」ということを続けたからです。私はちょうど1年半ほど前、つまり大統領選挙の半年ほど前、ある国際政治学者から「日本のニュースは間違っているから、・・・を見たらよいよ」とアドバイスされ、インターネットを利用して日本に流れてくるニュースとは違うソースで報道を見ていたら、なんと!トランプ氏が有利なのです。

アメリカ大統領選挙ぐらい大きくなり、さらに長期間の選挙戦の場合、各地区の状態は選挙の前に細かくわかっていて、「大接戦」ということだったのです。もし事実そのものが流れていたら、日本人も間違わなかったでしょう。

なぜ、アメリカのメディアはフェイクニュースを流し、日本のメディアもそれに追従したのでしょうか?アメリカのメディアも日本のメディアも「接戦」であることは承知していたのです。また、民主党の予備選挙で、新しく出てきた無名のサンダース候補が40%を超える得票を得た時に、すでに本選挙は「少なくとも接戦」ということが分かっていました。

二つの原因がありました。

一つは、アメリカは「民主主義」とは言っていますが、その実、政治資金は国民の0.1%の人たちから政治家に提供されているので、「寡占政治」(少数の人が政治をする。貴族政治のようなもの)なのです。つまり「元議員」の人たちが「ロビー」(政治活動をするところ、またはロビーで政治活動をする人)で、超金持ちからお金を預かって政治家に渡し、そこで取引をして政治を動かすという仕組みだからです。さらに、「元議員のロビーイスト」からお金をもらう「現議員」は議員を辞めるとロビーイストになります。だから、自分が将来、職に就く人たちの言うことを聞いているのです。

この超金持ちの周りにいるのが、エスタブリッシュメントと呼ばれる人たちで、簡単に言うと、一流大学をでて、社長、会長、議員、官僚、ファンドマネージャー、ジャーナリストなどで、おおよそ年収が日本円で3000万円から3億円程度の人たちです。

超金持ち(年収100億以上)とエスタブリッシュメントの人たちで、アメリカの富の90%を握っています。また下位50%の人(国民の半分)がアメリカの富の1%しか持っていないというのが現在のアメリカなのです。

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